パナソニックホールディングス(HD)が成長していくためには海外市場への投資が欠かせない。伸びる事業として期待できるのがEV(電気自動車)用電池の分野だ。米テスラのイーロン・マスクと向き合い、経営スピードの重要性を学んでいる。=文中敬称略

■この連載ここまで
(1)パナソニック、思考停止の壁どう壊す トップ楠見の頭の中

イーロン・マスク率いるテスラとの関係構築がパナソニックエナジーの最重要課題(写真:Pool / プール / Getty Images)
イーロン・マスク率いるテスラとの関係構築がパナソニックエナジーの最重要課題(写真:Pool / プール / Getty Images)

 2022年11月、米中西部のカンザス州。抜けるような青空のもと、パナソニックエナジー(大阪府守口市)の社長兼CEO(最高経営責任者)の只信一生が、地面にスコップを刺した。テスラ車に搭載するリチウムイオン電池工場のくわ入れ式だ。

 テスラとの取引は、子会社にする前の旧三洋電機が06年、スポーツカー「ロードスター」に納めてから続いている。17年、米ネバダ州にあるテスラの工場、ギガファクトリーに約2100億円で電池の生産ラインを設けており、今回はテスラとの関係を見据えた第2弾として5000億円規模の資金を投じる。25年3月末までに、大きさの規格を数字で表してある円筒形電池「2170」(直径21mm、長さ70mm)の量産を始める。

 華やかなくわ入れ式だが、只信の胸中には危機感がある。「テスラの時間軸についていけなければ、いずれエナジーの価値はなくなるだろう」

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