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 6月上旬、世界有数のパソコン生産地である中国重慶市で、中国にとって戦略的に重要な意味を持つ新製品の量産が始まった。

 新機種の名前は「天玥」。米インテルや米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、米マイクロソフトなど、現在のパソコンに必須とされる要素が見当たらない。CPU(中央演算処理装置)やマザーボード、OSなどすべてが中国製で固められているのだ。

(写真:shutterstock)

 国有企業の中国航天科工集団第二研究院706所が開発した。生産は西南計算機が受託している。まずは、中国共産党や中国政府が使用することを想定しているという。

 重慶日報によれば、西南計算機は中国航天科工集団と共同で建設した製造ラインに1億元(約15億円)を投資していき、最終的には年産能力を50万台まで拡大する計画という。

「もう外国から輸入した部品やOSに頼る必要がなく、立ち往生することもない」「情報セキュリティーを独立して制御できるようになる」

 中国国内にはこうした記事があふれた。背景には深刻化する米中対立がある。米トランプ政権は華為技術(ファーウェイ)など中国政府に近いと見る企業に事実上の禁輸措置を課す戦略をとっている。ロイター通信は24日、米国政府がファーウェイや杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などを中国軍の協力企業に指定したと伝えた。中国航天科工集団もそのリスト中に含まれているという。

 中国政府や中国企業からすれば今や、半導体やソフトウエアを米国製に頼ることはリスクにほかならない。いつ製品や部品の調達に支障をきたしてもおかしくないからだ。

 そのリスクの解消策として期待される純中国産PCの実力はいかほどのものか。