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 「スマホは?健康コードを見せて」
上海市内で商業ビルに入ろうとすると、守衛に呼び止められてこう要求された。

 健康コードとはスマホ画面上で表示するQRコードで、持ち主の新型コロナウイルスの感染リスクを示すものだ。5月11日に3カ月半ぶりに再開した上海ディズニーランドでも、入場時には健康コードの提示が求められた。

 新型コロナ対策が進む中で中国各地の様々な施設や公共交通機関で健康コードを確認することが当たり前になり、「デジタル通行手形」として機能している。ここ数年、電子マネー決済の普及で中国ではスマホが手放せなくなっていたが、今はスマホ抜きには自由な移動すらままならない。

 健康コードのシステムは各地方によって異なるが、基本的には今や中国人なら誰でもスマホに入れていると言っても過言ではない「アリペイ(支付宝)」や「ウィーチャット(微信)」といったアプリを利用する。

 利用の流れはこうだ。まず、施設ごとに用意されたQRコードをアプリで読み込むか、アリペイやウィーチャットペイから「健康コード」のプログラムを直接起動する。するとリスクを三段階で「緑」「黄」「赤」に色付けしたQRコードがスマホ画面に表示される。細かい定義は地域によって異なる部分があるが、基本的には緑は基本的に健康に問題がないこと、黄はコロナ感染者との濃厚接触や入国直後といった理由による隔離期間中など、赤は感染者であることなどを示している。

 利用者が自ら診断結果や移動履歴を打ち込むわけではない。それなのになぜ、この単純な操作で感染リスクがわかるのか。