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(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスの「逆輸入」を警戒する中国。同国で有数の国際都市である上海市は海外からの渡航者に異変がないか厳しく目を光らせ、少しでも症状が出ていると見れば指定施設での隔離を指示する。

 こうした状況に頭を悩ませているのが、家族を帯同して現地で生活する外国人駐在員たちだ。1月25日の春節(旧正月)の時期には中国で感染が拡大していたことから家族と一緒に日本に一時帰国した駐在員は多い。ところがその後、中国への入国者に2週間隔離が求められるようになってきた。業務上の必要性を考えれば、自分1人なら施設隔離も甘受できるという駐在員は多いだろう。だが、家族にまでその可能性が及ぶことはまた別の話だ。中国に家族を戻すのか、日本に残すのか、悩みは尽きない。

 今回、記者は家族同伴で上海に戻ったものの、意に反して施設隔離になったという男性に電話取材を受けてもらうことができた。施設隔離になった場合、どのような状況になるのかをインタビュー形式でお伝えしたい。

2歳の息子の鼻水で検査対象に

現在、指定施設での隔離中とお聞きしました。どのような経緯だったのかをお聞かせください。

 もともと今年の春節は日本に帰国する予定はなかったのですが、中国で新型コロナウイルスが広がってきたため、実家で過ごすことにしました。妻と5歳の娘、2歳の息子の4人家族全員です。会社からは日本での業務継続を3月まで認めてもらいました。

 娘は日本での一時保育にも通えましたし、しばらくは親に面倒を見てもらえることになったので、今回は息子を連れて3人で上海に戻ってきました。上海浦東空港に着いたのは午後4時ごろでしょうか。飛行機を降りてから入国審査前に仮ブースのようなところで検疫官による問診を受けたのですが、ちょうど息子が鼻をすすってしまった。すると検疫官に「もうちょっと詳しい検査を受けてくれ」と言われ、施設での隔離を命じられてしまいました。

 問題ないと判断された人は、パスポートに青色のシールを貼られていました。我々は黄色のシールを貼られて検査ブースに案内されました。私は入るなと言われ、妻と子供だけが入りました。子供は唾液を検体として採取されたようです。