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(写真:ロイター/アフロ)

 「疫病の流行のピークはすでに過ぎた」。中国の衛生当局の担当者は3月12日、こう明言した。理由は中国国内において新たに確認される新型コロナウイルスの感染者数が激減していることだ。2月上旬は連日3000人を超えることもあった新規感染者数が12日は8人にとどまっている。

 新型コロナウイルスの封じ込めに成功しつつあると自己認識する中国政府が今、最も警戒しているのが新型コロナウイルスの「逆輸入」だ。3月上旬から北京市、上海市、広東省をはじめとする主要都市では日本を含む感染拡大国への渡航歴がある人を、14日間強制的に自宅もしくは指定施設に隔離する措置が取られている。中には浙江省のように自宅隔離が認められず、全員が施設隔離とする地域も出てきている。現在中国への出張は多くの企業にとって現実的な選択肢ではなくなっているが、駐在員が中国に帰任するときも各地方政府の対応を十分に調べて判断してほしい。

 記者は以前お伝えしたように、上海で14日間の自宅隔離措置を受けている。実際に隔離措置を受けると、どうなるのかをご報告したい。

 帰国初日にマンションの事務所を通じて「社区」に報告を行った。社区とは中国における地域の最小単位で、英語のコミュニティーの概念を適用したものだという。日本でいう町内会が、実際に行政の仕組みの中に組み込まれたものとイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。

 2日目になると、防護服に身を包んだ4人の社区関係者が自宅を訪問してきた。初日には実際にどこまで外出が認められるのか、人によって言うことが曖昧だったが、この時点ではっきりと「自宅から外に出ないでください」と明言された。上海のマンションは広い敷地の中に十数棟が立っており、敷地から外に出る場合は守衛のいる門を通って出るところが多い。自宅外出禁止といっても、マンションの敷地内の散歩ぐらいは大丈夫かもしれないと思っていたが、それすら認められないとのことに少しショックを受けた。

 4人組はいくつかの書類にサインするよう求めてきた。驚いたのは、丁寧に日本語に翻訳したものを提示されたことだ。同居人の有無、上海にきた目的、職場などを記入した上で、誓約書にサインする。外出せず面会も断ることや、1日2回の検温に協力すること、発熱やせき、息切れなどがあったらすぐに連絡することなどが記されていた。