中国・武漢が震源とされる新型コロナウイルスの拡大が止まらない。中国の政府と社会はこの災厄とどう向き合い、克服しようとしているのか。広岡延隆・上海支局長がその最新動向をお伝えする。
(写真:UPI/アフロ)
シリーズ
中国・上海支局発 新型コロナウイルス最前線

完結
39回
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四面楚歌のTikTok、マイクロソフトと交渉で中国内からも批判
「米国事業を売却するというニュースのせいで、私と会社に微博(ウェイボ)上で多くの非難の声が寄せられた」。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国企業、北京字節跳動科技(バイトダンス)の創業者でCEO…
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アプリで孤立する中国、TikTokのデータ取得騒動再燃
「オーケー、TikTok。私のクリップボードのデータを盗まないでください」。ユーザーがこのように文字を入力していくと、iPhoneの画面上部にひっきりなしに「TikTokがインスタグラムから貼り付けました」という通知が表…
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香港国家安全維持法で加速する資本分断
中国の全人代常務委員会は6月30日、「香港国家安全維持法」を全会一致で可決した。一国二制度が揺らぐことは、英国統治時代から企業を保護してきた透明性の高い司法制度が揺らぐことを示す。国際金融センターとしての香港の地位はどう…
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「インテルもMSも不要」 量産段階に入った純中国産PCの実力
6月上旬、世界有数のパソコン生産地である中国重慶市で、中国にとって戦略的に重要な意味を持つ新製品の量産が始まった。国有企業の中国航天科工集団が開発した。生産は西南計算機が受託している。まずは、中国共産党や中国政府が使用す…
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Zoomもインドも香港も、膨張する「中国の価値観」
「4つのズーム会議が計画されている。中国では違法行為だ。ミーティングとホストのアカウントを停止してくれ」。中国政府から米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズにこんな要請が寄せられたのは5月から6月初旬にかけてのことだった…
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北京に新型コロナ第2波襲来、中国の食卓から消えるサーモン
一度は新型コロナウイルスの感染拡大封じ込めに成功したかと思われた北京市で、大規模な集団感染が発生した。中心地となっているのは新発地卸売市場。国内外から食材が集まりレストランやスーパーなどの仕入れ担当者や一般客などでごった…
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香港国家安全法、「中国への賛同」を迫られる外資企業
「経済と政治は無関係」。これは企業が国外で活動する際の基本的な原則だ。現地の政治情勢にいちいち意見を表明することを強いられるようでは、安定したビジネスは成り立たない。だが今、その原則が揺らいでいる地域がある。舞台は、中国…
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新型コロナは中国消費市場をこう変えた 京東副総裁の証言
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を真っ先に受けた中国。1月23日の武漢市封鎖など全土で厳格な移動制限を敷いたが、2月末には「復工復産」のスローガンの下で経済活動の再開に乗り出した。その時、中国の消費市場では何が起きてい…
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「戦狼外交」でも冷戦思考は拒絶、全人代に透ける中国のジレンマ
中国の全国人民代表大会(全人代)後の記者会見で李克強首相は冷戦思考を否定した。その一方で、中国は「戦狼外交」と呼ばれる高圧外交を続けている。新型コロナ禍で大量に失われた国内の雇用を立て直すためには貿易相手となる各国との協…
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米中「新型コロナ冷戦」下の全人代、水面下で進むネット規制強化
中国の国会に相当する年に一度の重要会議、全国人民代表大会(全人代)が5月22日に開幕した。米中の「新冷戦」の影響を受けて、中国では水面下でネット規制が強化されている。外国企業の中国における事業活動にも影響を及ぼし始めた。
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米国が「内製半導体つぶし」、ファーウェイは耐えられるか
米商務省は米国製製造装置などを使って作った半導体製品について、華為技術(ファーウェイ)への輸出を実質的に制限した。「サバイバルが我々のキーワードだ」。昨年、米国の禁輸措置にも強気を崩さなかったファーウェイだが、今回はその…
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コロナで進化した監視体制、中国「デジタル通行手形」の光と影
中国における新型コロナウイルスの「封じ込め」に役立ったのが、移動制限に加えてITの活用だ。スマホ上に持ち主の感染リスクを表示する「健康コード」は、ビルや商業施設に入る際の「通行手形」として用いられるようになった。それは中…
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[ウェビナー]中国は危機を乗り越えたのか
新型コロナウイルスの感染拡大の震源地は今、経済再開へ動き出している。中国政府の封じ込め策が功を奏したといわれるが、危機を乗り越えたのか。広岡・上海支局長が報告する。
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上海で学校再開、新型コロナ対応で開く国際教育格差
上海市では4月末から段階的に学校が再開され始めた。新型コロナウイルス流行の第2波に備えた厳重な対策が義務付けられた。注目すべきはITやテレビを駆使し、休校中も学習を止めない体制を整えたことだ。
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中国が3兆円国家ファンドで狙う「次の東京エレクトロン」
中国湖北省武漢市で敷かれた厳格な都市封鎖。経済活動が原則禁止となる中で、国策半導体企業が「特別に」操業を継続していた。貿易戦争の中で中国が米国に突かれた「半導体」という弱点。中国はコロナ後の世界経済を見据えながら自給率を…
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中国が掲げるコロナ経済対策の本命「新基建」とは
新型コロナウイルス流行後の経済対策が金融政策頼みになっている中国。延期になっていた全人代の日程はようやく決まったが、リーマン・ショックの時のような大規模な財政出動が期待しにくい。そんな地合いで「本命」と目される分野が「新…
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武漢「全員退院」に含まれた陽性患者 中国が悩む封鎖の後遺症
武漢市の入院患者がゼロになったと胸を張る中国政府。だが、経済の深刻なダメージが明らかになり企業活動の再起動に躍起だ。国内はウイルスを封じ込めても海外から感染者の流入が相次いでおり、アクセルを踏み切れないジレンマを抱えてい…
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中国1~3月GDP6.8%減が示す「コロナ後」の世界経済
中国国家統計局は4月17日、2020年1~3月の国内総生産(GDP)を発表した。物価の変動を除いた実質GDPは前年同期と比べて6.8%減少し、四半期の成長率としては記録がある1992年以降で初めてのマイナスとなった。新型…
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密入国者に懸賞金、感染再拡大防止に必死の中国
「ロシアからの密入国者を通報したら3000元(約4万5000円)、捕まえたら5000元(約7万5000円)を与える」。中国とロシアとの国境に位置する中国黒竜江省の当局は4月14日、ロシアからの密入国者に「懸賞金」をかける…
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武漢封鎖解除に沸く中国、日本の緊急事態宣言は「仏系」
4月8日午前0時、新型コロナウイルスの感染が最初に広がった中国湖北省武漢市の封鎖が解かれた。日本で緊急事態宣言の効力が発生した約1時間後のことだ。強権的な手法に自信を深める中国からは、日本の対策が手ぬるいと心配する声も上…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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