液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)が経営トップの交代を発表した。12月末で菊岡稔社長兼CEO(最高経営責任者)が退任し、筆頭株主の投資会社を率いるスコット・キャロン会長がCEOを兼務する。10日に開いた緊急会見で、菊岡氏は自らの辞任への悔しさを口にした。

ジャパンディスプレイは12月末で菊岡稔社長兼CEO(左)が退任し、スコット・キャロン会長(右)がCEOを兼務する
ジャパンディスプレイは12月末で菊岡稔社長兼CEO(左)が退任し、スコット・キャロン会長(右)がCEOを兼務する

 「事業基盤の再構築という課題は残っている。そういう面では無念だ」。JDIが10日に開いた緊急会見に登壇した菊岡氏は、自らの辞任についてこう語った。

 菊岡氏の退任を受けて、2021年1月1日付で大河内聡人執行役兼CFO(最高財務責任者)が新たに代表執行役兼CFOに就任する。社長は置かず、「(将来的に)生え抜きの社長が出るまで空席にする」(キャロン氏)という。

「二人三脚はベストではない」

 突然のトップ交代の狙いは、経営の意思決定の迅速化だ。新たにCEOに就くキャロン氏は、金融支援でJDIの筆頭株主となった独立系投資顧問会社いちごアセットマネジメントの社長。菊岡氏は「CEOと会長の2トップ体制のイメージを持たれていたが、課題のある会社のトップは1人であるべきだ」と説明。キャロン氏も「経営のスピードを加速するのが今回のポイント。(JDIにとって)二人三脚はベストではない」と同調した。

 “円満離婚”を強調するが、実際には「考え方が100%一致するわけでもないため、遠慮した部分もあった」(菊岡氏)という本音ものぞかせた。この数カ月間、菊岡氏とキャロン氏が議論し、菊岡氏から「2トップを解消するならば私だ、と辞任を申し出た」という。

 日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)出身の菊岡氏は、日東電工や日本電産などを経て17年4月にJDIに入社。19年9月からは社長として、いちごアセットからの金融支援の取りまとめ(JDIへの支援を決めた「いちごアセット」って何者?)や、経営危機の要因となった白山工場(石川県白山市)のシャープなどへの売却(JDIが白山工場をシャープに売却、勝者は結局アップルか)を果たした。

 社長就任後に発覚した不正会計問題への対応としては、指名委員会等設置会社への移行を打ち出した。菊岡氏は「財務基盤とガバナンス(企業統治)の課題については、ある程度メドが立った」とこれまでの経営を総括した。21年1月からいちごアセットのシニアアドバイザーとしてJDIなどの経営の助言に当たるという。

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