東芝が政府に頼って株主に圧力をかけたとされる問題で、退任させられた豊原正恭元副社長と加茂正治元上席常務が「事実をねじ曲げられた」と反論している。6月にアクティビスト(物言う株主)が主導した調査報告書は、2020年7月の株主総会運営が公正ではなかったと指摘した。東芝が設置したガバナンス強化委員会は21年11月に報告書を公表し、政府の行為は「経済安全保障の観点から重要」と判断を覆した。一方で不満を持つ株主側に配慮し、元役員に責任を負わせる格好となった。

11月12日に公表された東芝のガバナンス強化委員会の報告書は、6月に退任した役員について「市場が求める企業倫理に違反する行為」があったと批判しました。

加茂正治元上席常務(以下、加茂氏):今回の報告内容は大変残念です。法令や規則違反のないことが確認された点については評価します。しかし、「個別に見ると問題ないが、事後的に、全体的に見ると市場が求める企業倫理に合致するかは疑問」という結論に対しては、前回(6月)と同様に極めて曖昧で恣意的な評価がなされており、受け入れることはできません。

<span class="fontBold">加茂正治(かも・まさはる)氏</span><br />1992年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。2010年ローソン常務、14年同社専務。16年デロイトトーマツ・フィナンシャルアドバイザリーのシニアアドバイザー。17年マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー。20年東芝入社、21年6月まで上席常務。(写真:加藤康、以下同)
加茂正治(かも・まさはる)氏
1992年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。2010年ローソン常務、14年同社専務。16年デロイトトーマツ・フィナンシャルアドバイザリーのシニアアドバイザー。17年マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー。20年東芝入社、21年6月まで上席常務。(写真:加藤康、以下同)

 「行政府に頼り過ぎ、過剰に情報交換している、密接過ぎる関係、密室的な交渉態様」という評価にも極めて強い違和感があります。

 それでいて会社の行為について「どこまでが適正かという点について明確に一線を画すことは困難」とも書かれています。第三者が線引きするのは不可能だと認めているのです。これは前回報告書の「株主総会運営が公正であったとは言えない」という結論を維持するため、(元役員を倫理違反としたのは)無理やり導き出したこじつけのように感じます。ぜひともこの不明瞭な結論の見直しを望みたいと考えます。

「メールが意図的に抜粋された」

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