東芝はなぜガバナンス(企業統治)不全に陥り、3社の分離という実質的な「解体」を迫られるまでになったのか。2015年の不正会計問題からの歴史を振り返ると、少なくとも「4度」再生するチャンスがあったことがわかる。前編ではそのうち、2015年に経営陣が道を誤った「2つ」の分岐点を検証する。

 「140年の歴史で最大ともいえるブランドイメージの毀損があった」。2015年7月21日。不正会計に関する第三者委員会の報告書を前日に受領した田中久雄社長(当時)はこう語り、報道陣の前で頭を下げ続けた。

2015年の不正会計問題を受け、田中久雄社長(当時、写真中央)ら歴代3社長は引責辞任したが……。(写真:アフロ)
2015年の不正会計問題を受け、田中久雄社長(当時、写真中央)ら歴代3社長は引責辞任したが……。(写真:アフロ)

 誰もが仰ぎ見る名門企業という東芝のイメージは、不正会計で根底から覆った。パソコンやインフラ事業などを中心に利益の水増しは7年間で2200億円を超えた。田中氏、西田厚聰氏、佐々木則夫氏の歴代3社長が引責辞任。当時の取締役16人のうち8人が退任に追い込まれた。

 9月には東京証券取引所が東芝株を「特設注意市場銘柄」に指定した。15年末には金融庁が有価証券報告書などの虚偽記載を巡り、約73億円の課徴金納付命令を出した。

 東芝も独自に役員責任調査委員会を設置し、不正会計の期間に取締役・執行役だった人物の責任を調査した。対象となる98人のうち14人を不正会計に関与した可能性があると判断し、歴代3社長と2人のCFO(最高財務責任者)ら5人に善管注意義務違反があったと指摘した。東芝は法人として、5人に対して損害賠償請求訴訟を起こした。

 田中氏は「140年で最大だった」と会見で語った。だが現在から振り返ると、この会見はその後6年以上も続く混迷の序章にすぎない。

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