混迷が続く東芝は、これまでなぜ上場を維持できたのか。粉飾決算が発覚して歴代3社長が辞任した後、2015年9月に特設注意市場(特注)銘柄に指定された。債務超過に陥ったことなどで上場廃止の危機を迎えたが、審査を経て17年10月に特注指定を解除され、結果として上場は維持された。日本取引所(JPX)自主規制法人の理事長として審査にあたった佐藤隆文氏に、当時の判断と東芝の現状についての考えを聞いた。

東芝のガバナンス体制について、2017年当時の審査ではどう捉えていたのですか。

<span class="fontBold">佐藤隆文(さとう・たかふみ)氏 </span><br>1950年神奈川県生まれ。73年大蔵省(現・財務省)入省、主計局主計官や金融庁検査局長、監督局長などを経て2007年金融庁長官。13~19年には日本取引所自主規制法人の理事長を務めた。20年から農林中央金庫経営管理委員、証券・金融商品あっせん相談センター理事長。21年からT&K法律事務所顧問も務める。
佐藤隆文(さとう・たかふみ)氏
1950年神奈川県生まれ。73年大蔵省(現・財務省)入省、主計局主計官や金融庁検査局長、監督局長などを経て2007年金融庁長官。13~19年には日本取引所自主規制法人の理事長を務めた。20年から農林中央金庫経営管理委員、証券・金融商品あっせん相談センター理事長。21年からT&K法律事務所顧問も務める。

佐藤隆文・日本取引所自主規制法人前理事長(以下、佐藤氏):投資家保護と資本市場の秩序の維持という2つの大きな価値基準に沿って、上場管理を巡る審査を実施した。

 まず投資家保護について。ガバナンスが全くできておらず、粉飾決算をしたとんでもない企業を上場させ続けるのは、投資家に損失となる。経営遂行能力、事業遂行能力、事業を会計処理して決算としてまとめる能力、それをマーケット・投資家に開示するコミュニケーションの能力、これらが備わっているかが重要だ。そうではない企業を漫然と上場維持させることはできない。

 他方、それなりの収益力、競争力がある企業をいくつか問題があるということで、ただちに上場廃止にすればむしろ投資家の売買の機会を奪うという面もある。特注審査でまず重要なのは事実をしっかり調べ上げ、根本原因を探り出すことだ。そして再発防止策の実行を促した。

具体的には何を問題視していたのでしょうか。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2558文字 / 全文3201文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「日の丸電機サバイバル」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。