東芝は11月12日、事業ごとに会社を3分割する変革案を打ち出した。エレベーターや交通システム、パワー半導体など投資規模や経営判断が異なる事業を分離し、経営の意思決定を早めて企業価値を高める狙いだ。経営再建に向けた「大胆な一手」に見えるが、アクティビスト(物言う株主)は日経ビジネスの取材に対し、「失望」をあらわにした。再び、東芝経営陣とアクティビストの経営方針を巡る対立が深まる可能性が浮上している。

 「東芝の株価が伸び悩んでいる最大の原因は、経営陣への不信だ。会社を分割しても人が代わらないなら問題は解消されない。経営陣は保身を優先した」。東芝株を保有するアクティビスト(物言う株主)は11月12日夜、日経ビジネスの取材に対して失望をあらわにした。

 東芝は同日、主要事業ごとに3つの会社に分割する「スピンオフ(分離)案」を発表した。エネルギーやビルシステムなどを手掛ける「インフラサービスカンパニー(以下、インフラ社)」と、ハードディスク駆動装置(HDD)を軸とする「デバイスカンパニー(デバイス社)」に事業を振り分け、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス株式などを管理する存続会社が「東芝」の名を受け継ぐ。それぞれ2024年3月期をめどに上場させる方針だ。

東芝が打ち出した3分割案の概要
東芝が打ち出した3分割案の概要
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 長らく課題として指摘されてきた「コングロマリットディスカウント」の解消を期待する。東芝はエレベーターや交通システム、パワー半導体など投資規模や経営判断のスピード感が異なる事業を抱えてきた。投資家が事業内容を理解しづらく、株価が割安な状態になりかねない。それぞれの会社が担う領域をシンプルにして経営の意思決定を早めれば、3社の株式時価総額の合計は東芝単独で上場している今よりも高められるとの皮算用がある。

 オンライン記者会見に登壇した綱川智社長兼CEO(最高経営責任者)は「(東芝の)ブランドにこだわっていない。分かりやすい企業の形で経営することで、業績を上げられる」と述べた。事実上の東芝解体ではないか、との質問については「未来に向けた進化だ」とかわした。これまでの記者会見では厳しい表情が目立った綱川氏だが、12日は常に晴れやかな笑みを浮かべていた。まるで、長年続いた経営の混迷に一区切りを付けたかのような高揚感が、会見の映像から伝わってきた。

綱川氏は、「個人としては会社のブランドにこだわっていない。分割そのものよりも使命について考えることが重要だ」と語った。(オンライン記者会見映像より)
綱川氏は、「個人としては会社のブランドにこだわっていない。分割そのものよりも使命について考えることが重要だ」と語った。(オンライン記者会見映像より)

 だが、東芝の思惑通りに進むとは限らない。他のアクティビストも分割案を評価していないとの情報が、既に漏れ始めているからだ。

続きを読む 2/3 「非上場化を真剣に検討していない」

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