東芝の買収に向け、15社超の日本企業連合が大きな賭けに出た。プライベート・エクイティ(PE)ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)を核とした陣営に入り、約1兆円の出資金をかき集めた。融資を含む買収資金の合計額は2兆円超を想定している。多様な業種からこれほど資金が出るのは異例。「日本勢では無理」との下馬評を覆そうと、関係者らが奔走した。

(写真:ロイター)
(写真:ロイター)

 「日本のファンドと企業の集合体では、巨額M&A(合併・買収)の出資部分さえ集められないんじゃないか?」

 つい2カ月ほど前まで、中央省庁の幹部からもこうした懐疑的な声が聞かれた。その矛先は、国内プライベート・エクイティ(PE)ファンドである日本産業パートナーズ(JIP)の陣営に向けられていた。

 上場企業をいったん買収して非上場化する場合、PEファンドは必要資金のおおむね3分の1〜半分弱を出資金として出し、残りを「シニアローン」と呼ぶ金融機関からの借り入れや、「メザニン」と呼ばれる優先株や劣後ローンなどで賄うのが一般的だ。

 東芝の時価総額は2兆円超なので、少なくとも出資額として7000億円程度は必要とみられていた。海外メディアでも「この規模でファイナンスできるPEファンドは欧米系だろう」との論調が当初は目立った。ただ、東芝は原子力や防衛産業に携わり、改正外為法の規制を受けている。外資主導では買収できず、国内PEファンドが底力を発揮できなければ案件が宙に浮く。今年4月から東芝が始めた企業再編の検討プロセスそのものが、頓挫しかねない状況だった。

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