経営体制が目まぐるしく変わり、ガバナンス(企業統治)不全に陥っている東芝。今後を占う「Xデー」が3日後に迫っている。11月12日の2021年7~9月期の連結決算と同時に、新たな中期経営計画を発表する予定だからだ。経営トップである綱川智社長兼CEO(最高経営責任者)が今後の方針を説明する。

 東芝は現在、会社全体を主要事業ごとに3つに分割する検討に入っている。電力などのインフラ、HDD(ハードディスク駆動装置)などのデバイス、半導体メモリーの3つの会社に再編する考えで、複数の関係者が認めている。役割を明確化し、それぞれ上場を目指す。半導体メモリーは、約4割を出資するキオクシアホールディングスの株式保有会社になることを想定する。「半導体メモリーを分割することで、株式売却益を、他の事業の投資に回すべきではないという一部アクティビストの主張に応える狙いもある」(東芝関係者)。取締役会の承認を得て12日に発表されれば、これまでグループ一体での成長戦略を描いてきた東芝にとって大きな戦略転換となる。

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 背景にあるのが、今年3月以降、深刻化しているアクティビスト(物言う株主)と経営陣の対立だ。3月18日に開催された臨時株主総会では、20年の定時株主総会の運営不備を調査すべきだというシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントからの株主提案が可決。エフィッシモが推す弁護士による再調査が実施されることになった(関連記事:臨時総会でアクティビストの提案可決 東芝、3カ月後に再び迫る試練)。

 4月に入ると事態は急変。4月7日、東芝が英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズから買収提案を受けたと明らかにした(関連記事:東芝に車谷社長の「古巣」が買収提案 それでも続く物言う株主対応)。買収による非上場化はアクティビスト対応に苦しむ東芝にとって「渡りに船」に思えたが、CVCは東芝の経営トップだった車谷暢昭社長兼CEO(当時)の古巣であり「利益相反」の疑いが浮上した。結局、車谷氏は経営混乱の責任を取り4月14日に辞任し、会長を務めていた綱川氏が社長に復帰した(関連記事:東芝・車谷社長「必然」の辞任、機能したガバナンス)。

 経営トップだった車谷氏の辞任後も、東芝の難路は続いた。6月10日、エフィッシモ推薦の弁護士が20年総会運営に関する調査報告書を公表し、「株主総会が公正に運営されたものとはいえない」と結論づけた(関連記事:東芝株主総会「不公正」問題、見て見ぬふりした監査委員会の罪)。

 定時株主総会を約2週間後に控えたタイミングで調査報告書を受けた東芝経営陣は混乱。6月13日、監査委員会委員長の太田順司氏ら2人を定時株主総会で諮る取締役候補者から外すと発表し、幕引きを図ろうとした(関連記事:東芝、総会2週間前に取締役候補を除外 指名委員会の責任は?)。

 だが、株主の怒りは収まらない。6月25日の株主総会では永山治取締役会議長(中外製薬名誉会長)ら2人の再任案が否決され、綱川社長兼CEOが暫定的に取締役会議長に就任した(関連記事:東芝が「自滅」した3つの理由、混乱の株主総会)。株主総会で選任された取締役の1人も辞任し、現在は取締役8人中4人がアクティビストに近い人物が占めるという事態に陥っている。

ガバナンス改革に遅れ

 東芝はこの半年間、ガバナンスや経営戦略の立て直しに動いてきた。11月12日の記者会見でポイントになるのが、(1)新たな中期経営計画、(2)20年の定時総会運営の再調査、(3)取締役会議長など追加の取締役の選定、の3つの改革の進捗状況だ。