東芝の買収に向け、オリックスが3000億円程度の出資を可能と判断していることが分かった。同社は東芝に買収案を出しているファンド、日本産業パートナーズ(JIP)の陣営にいる。時価総額2兆円強の大企業を買収するため、こうした出資金と融資を合わせて必要な資金が集まっているもようだ。

 複数の関係者によるとオリックスは、中長期で東芝の経営再建を下支えしていく方針。これまで同社による大規模出資では、2018年にアイルランドのリース大手、アボロン・ホールディングスの株式の3割(議決権ベース)を約2500億円で取得した例がある。今回は「世界的に優位性のある東芝の技術を育てていくべきだと判断したようだ」(関係者)。

 東芝の買収案件は実質的にJIPと、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)の2陣営どちらが東芝経営陣に選ばれるかで競ってきた。JIPは巨額のM&A(合併・買収)を成立させるべく20社程度に対し、出資を呼びかけてきた。中部電力やJR東海など東芝と古くから取引関係にある企業も含め、合計で9000億円前後の出資金が集まるとみられる。

東芝の買収に向け、JIPは20社程度に出資を呼びかけてきた(写真=ロイター/アフロ)
東芝の買収に向け、JIPは20社程度に出資を呼びかけてきた(写真=ロイター/アフロ)

 今後、JIP陣営の中でまだ正式決定していない企業がどれほど出資するかによって、実際のオリックスの出資規模は変動するようだ。JIP陣営として出資金以外でTOB(株式公開買い付け)に必要な額は、銀行団からの融資で賄う。

 これまでオリックスによる東芝への出資は市場関係者などから「1000億円程度ではないか」とみられていた。その3倍程度まで出資が可能なのは、東芝の窮地が長引くことへの懸念が強いからだ。東芝が抱える多数の取引先にも影響が及ぶと、電力や半導体関連など日本の基幹産業が滞りかねない。

 オリックスは短期でのリターンを狙うのではなく、5~7年程度の出資期間を見込んでいるようだ。

 東芝は2015年に発覚した不正会計による経営危機、17年の6000億円増資に伴う複雑な株主構成などが相まって混迷を続けてきた。株主還元への要求も強く、キャッシュを創出するため有力事業を次々と売却した経緯がある。関係者によると、オリックスは買収後の東芝が半導体関連など有望な事業をきちんと残し、研究所も持続できることを望んでいる。

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