ソニーグループが半導体事業で、中途採用の一部エンジニアらを対象にフルリモートワークの制度を試験導入する。国内で各社が生産能力を引き上げるなど半導体投資が盛り上がり、人材不足に陥るとの危機感が強い。画像センサーで世界首位だが、思わぬところで成長にブレーキがかかりかねない。

ソニーは半導体分野で積極的に投資している(写真=ロイター/アフロ)
ソニーは半導体分野で積極的に投資している(写真=ロイター/アフロ)

 「成長をけん引している半導体において、人材確保が非常に重要な経営テーマだ」。ソニーグループの安部和志執行役専務は9月に開いた事業説明会で、10月からの半導体部門での中途採用において、出社を前提としない「フルリモートワーク」制度を導入すると説明した。

 制度を導入するのは半導体子会社、ソニーセミコンダクタソリューションズ(神奈川県厚木市)。職種は、半導体の回路設計やソフトウエア開発などのエンジニアのほか、営業や企画管理といった事務職となりそうだ。ソニーは対象となる人材の採用数を公表していない。

ソニーセミコンダクタソリューションズは一部でフルリモートワークを導入する(神奈川県厚木市)
ソニーセミコンダクタソリューションズは一部でフルリモートワークを導入する(神奈川県厚木市)

 同社の本社がある神奈川県厚木市で働いてもらうことにこだわっていると、地方に住みながら働きたい優秀なエンジニアを逃すことになる。場所の制約をなくし、採用の競争力を高めたい考え。

一眼カメラを超える機能

 ソニーの2021年度の半導体事業の売上高は前の期比6%増の1兆764億円と全体の1割程度を占める。足元で投資を進めており、同社の半導体事業の9割を占める画像センサー向けの21~23年度の設備投資は約9000億円と、20年度までの3年間と比べ55%増やす見通しだ。

ソニーは画像センサーの世界シェアで首位
ソニーは画像センサーの世界シェアで首位

 成長の第1の柱はスマートフォン向けだ。「センサーの大判化が進む」と、ソニーセミコンダクタソリューションズの清水照士社長は話し、特に高級機種のスマホに伸びが期待できる。21年、長崎県内でスマホ向けの工場「Fab5」を稼働させた。

 ソニーによると、スマホ業界では、24年に半導体の大型化やAI(人工知能)処理などによって、画像センサー自体の機能は静止画で一眼カメラを超えるという。30年には幅広い明るさを表現できる「超ダイナミックレンジ」が進化し、逆光でも美しく写真が撮れたり動画を「8K」で撮れたりできるようになる。

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