オリンパスが8月29日、工業用顕微鏡などの科学事業を米投資ファンドのベインキャピタルに4276億円で売却すると発表。不正会計発覚後の2012年から取り組んできた構造改革はこれで総仕上げとなる。今後は医療事業に資源を集中させ成長フェーズにシフトし、グローバルなメドテック企業へと変身を図る。

科学事業売却を決めたオリンパスは今後、内視鏡や治療機器などの医療領域にフォーカスする(写真:ロイター/アフロ)
科学事業売却を決めたオリンパスは今後、内視鏡や治療機器などの医療領域にフォーカスする(写真:ロイター/アフロ)

 「構造改革を実行すると打ち出しても、その通りにできる日本企業は少ない。やるべきことをやってきたのが今につながった」

 オリンパスが8月末に発表した、祖業である科学事業の売却。このニュースを耳にした市場関係者は、「大仕事」をやり遂げた同社をこうたたえた。祖業を手放すなど、情緒的判断をしがちな他の日本企業ならできなかったかもしれない。だが、オリンパスは合理的な判断を下した。売却額は4276億円。同事業の売上高1191億円(2022年3月期)の3.6倍の評価となった。同社関係者は「現在の業績や将来の成長性がきちんと考慮された」と胸を張る。

改革の手を緩めなかった

 今回の事業売却について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の山崎みえアナリストは「19年以降、さらに踏み込んで改革を進めたことが奏功した」と話す。オリンパスは20年にはデジタルカメラ事業の売却を決定。21年には早期退職者を募集して国内従業員の約6%に当たる844人が応募するなど、矢継ぎ早に改革を進めている。

 科学事業は数年前まで営業利益率が5~10%の間にとどまり、主力の医療機器分野に比べると見劣りしたが、市場成長を追い風に営業活動の効率化によって販管費の削減などに取り組み、足元(22年3月期)では14.7%にまで改善していた。それでも同事業の売却に踏み切ったのは、オリンパスの変革への覚悟の表れともいえる。

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