
シャープとジャパンディスプレイ(JDI)、果たしてどちらが今回の勝者なのだろうか。
経営再建中のJDIは8月28日、主力の白山工場(石川県白山市)をシャープなどに売却すると発表した。売却総額は約713億円。土地と建物をシャープに、製造設備はアップルとみられる顧客企業に売却する。シャープへの引き渡しは9~10月を予定する。
JDIが2016年末に稼働した白山工場は、建設資金の大半をアップルからの約1700億円の前受け金で賄っていた。いわば「専用工場」として稼働したが、アップルが「iPhone」の高級モデルに有機EL採用を優先したことで稼働率が低迷した。19年7月から生産を停止している。
JDIにとって経営危機の元凶となった白山工場を売却するメリットは大きい。過剰設備を整理できるうえ、稼働停止中も生じる生産設備の維持管理費や固定資産税などのコスト削減につながる。工場売却で得た資金を、前受け金の返済にも充てられるからだ。
一方のシャープは、買収した白山工場にiPhoneなどアップル向け液晶の生産を集約し、既存工場では車載向け液晶などの生産を拡大するとみられる。さらに白山工場の空きスペースを「マイクロLED」などの次世代ディスプレーの展開にも利用する考え。シャープの戴正呉会長は今回の発表に合わせて、「生産能力拡充や次世代ディスプレーへの展開といった面で、当社のパネル事業にとってプラスになると確信している」とコメントした。
JDIもシャープもリスク含み
もっとも、JDIとシャープそれぞれの思惑通りに進むかどうかは未知数だ。両社はそれぞれリスクを抱えている。
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