巨額買収をてこに世界の企業のデジタル化を促していく日立製作所。顧客を変えるだけでなく、自らもまた積極的な変革を進める。デジタル人材を今後3年で約10万人へと5割増やす。

■連載予定 ※内容は変更する場合があります
(1)日立の大変革を先導 米グローバルロジックの実力
(2)「日立時間」から脱却 買収企業に学ぶアジャイル文化
(3)デジタル人材10万人計画 日立、独自資格や研修充実(今回)
(4)沈む巨艦に大なた 日立歴代トップが構造改革できた理由
(5)日立の東原会長「サイロを壊し、黒船を呼び込んだ」描いた改革戦略
(6)日立は世界で勝てるか DX、敵はシュナイダーやアクセンチュア
(7)日立の小島社長「GAFAのように俊敏でないと負ける」
(8)日立がグローバルリーダーになるには「多様性が不可欠」伊出身常務

 「なぜ、先ほど接客の時、その資料に付箋を貼ったのですか」。日立製作所の顧客であるカーディーラーの店舗。そのスタッフを質問攻めにしていたのは、日立デジタルシステム&サービス統括本部の赤司卓也・主任デザイナーだ。

 相手の現場に入り込んで、関係者にインタビューを重ね、真の顧客ニーズが何かを見つける──。そこから赤司さんの仕事は始まる。

 赤司さんは2003年、製品デザイナーとして日立に入社した。当初は医療機器などをデザインしていたが、今デザインをする対象はプロダクトではない。「デザインシンカー」として、顧客との協創案件の始動段階で、課題を明確にし、どのように解決していくかグランドデザインを描く。

日立は「デザインシンカー」などの役割を果たす社員を増やす。赤司卓也さん(右)、隠岐加奈さん(中)、平野勲さん(左)もそうしたスキルを持つ(写真:的野 弘路)
日立は「デザインシンカー」などの役割を果たす社員を増やす。赤司卓也さん(右)、隠岐加奈さん(中)、平野勲さん(左)もそうしたスキルを持つ(写真:的野 弘路)

12種類のデジタルスキル

 デザインシンカーは、社内で定義づけられた「デザインシンキング」というスキルを持つ。ほかにも、データサイエンティストは「データサイエンス」として定義づけられたスキルを持つ。日立には全部で12のスキルがあり、一つでも持っていれば「デジタル人材」だ。

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