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経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)が6月30日、ヘルスケア関連事業への参入を発表した。センサーに加えて、ヒトゲノム解析などのサービス展開も視野に入れる。サービスを志向しながら立ち消えになった「いつか来た道」をたどる懸念を拭えるか。

 「勝算がなければ発表しない」。6月30日にヘルスケア関連事業への参入を発表した、経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)。オンラインでの記者会見に登壇したスコット・キャロン会長はこう意気込みを語った。

 JDIはこれまで医療分野ではディスプレーを供給してきたが、センサー事業を拡大する。ディスプレーの薄膜回路技術を応用した身に着けられる生体センサーや、画面を触らずに操作できるセンサーを内蔵したディスプレーを供給していく。

JDIは2020年1月、東京大学と共同開発した指紋や静脈、脈波を測定できる生体センサーを発表した

 ヒトゲノム解析関連事業への参入を検討していることも明らかにした。ゲノム解析情報と生体センサーの情報を組み合わせて、リアルタイムでの健康管理などのサービスを提供していく考え。パートナー企業との検討を進めており、ビジネスの枠組みが固まり次第、「できる限り早い段階で説明したい」(菊岡稔社長兼CEO)とした。

20年3月期は1014億円の最終赤字

 新規事業の創出を急ぐ背景にあるのは業績の厳しさだ。同日発表した20年3月期の連結決算は最終損益が1014億円の赤字。独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントの支援で債務超過は回避されたが、最終赤字は6期連続となった。大手顧客である米アップルなど、需要の変動が激しいスマートフォン用ディスプレーへの過度な依存から脱却できずにいる。