東芝は6月28日に定時株主総会を開き、13人の取締役候補の信任を問う。このうち2人は物言う株主(アクティビスト)であるファンド2社の現役幹部になっている。東芝は2人を招くにあたり、ファンド側と、秘密保持などの条項を盛り込んだ「合意書」を結んだ。投資ファンドから社外取締役を受け入れる例は日本でも増えつつあるが、企業とアクティビストの合意書の開示は極めて異例だ。
東芝は、主要株主である米ファラロン・キャピタル・マネジメントの今井英次郎氏と米エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏の2人を社外取締役の候補としている。東芝はそれぞれの投資会社と、5月26日付で「Nomination Agreement(取締役候補指名にかかる合意書)」を結び、株主総会の招集通知と共に公開した。
アクティビストからの社外取締役の受け入れは米国で先行している。企業とアクティビストが合意書を結んで一般株主らに公開するのが通例となっている。日本でもオリンパスやJSR、川崎汽船がアクティビストから取締役を受け入れるなど事例が増えつつあるが、両者間の合意書を開示した例は極めて珍しい。

東芝がファンド2社と結んだ合意書の主な条項は以下のようなものだ。
・秘密保持
社外取締役候補者は、金融商品取引法が定める重要情報や取締役会などでの議論、国家安全保障に関する秘密を、いかなる第三者にも漏らしてはならない。
・取引制限
取締役選任から定められた期間まで、東芝株式の売買の実施、合意、提案をしてはならない。
・利益相反
アクティビストが買収側に参画するなど、ほかの株主との潜在的な利益相反が起きる場合は、開示しなければならない。
こうした項目のほか、東芝のケースで特徴的といえるのが「ロールオーバー」条項だ。
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