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三菱電機がスタートアップとのオープンイノベーションを加速している。2017年からの3年間で50の案件を実施。6月1日の経営方針説明会ではスタートアップとの協業も成長戦略に盛り込んだ。もっとも実用化はまだだけに、目に見える成果が問われる局面を迎えている。

 シンガポールで2015年に設立された医療系スタートアップ、ストラティフィケア。研究施設内では2019年度から、ある検査キットの実証実験が進められている。

シンガポールで進む実証実験の様子

 ストラティフィケアが開発したのはデング熱などの検査に向けた「マイクロ流路チップ」だ。検体や試薬を通す微細な流路の表面に、はっ水コーティングを施しているのが特徴。従来に比べて検体や試薬が流れやすくなるため正確な分量で化学反応させられる。その結果、感染状況の検査精度が高まるという。

 東南アジアや中南米などの熱帯地域を中心に毎年1億人程度が症状を発生させるデング熱。その検査精度向上を目指すストラティフィケアだが、マイクロ流路チップの特徴となるはっ水コーティング技術は自社開発したものではない。開発したのは三菱電機だ。

 三菱電機が「スマートエアコーティング」と呼ぶ技術は、ナノメートルサイズの微粒子を水に溶けにくい樹脂(疎水性樹脂)に分散させてはっ水性能を持たせるもの。14年に発表しており、「換気扇やエアコンの室外機などでの導入実績がある」(同社)という。技術の応用先を外部に広げる一環で、シンガポールのスタートアップとのオープンイノベーションに踏み切った。