「急に起こった変化ではなく、これまで積み上げた成果が1兆円という節目で目立っただけのこと。変革は10年単位での積み重ねで起きる」。4月28日にソニーグループが開催したオンラインでの決算説明会。登壇した十時裕樹副社長兼CFO(最高財務責任者)は、純利益1兆円という結果を淡々とした口調で振り返った。

(AFP/アフロ)
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 28日に発表した2021年3月期の連結決算(米国基準)は、最終的なもうけを示す純利益が前の期比2倍の1兆1717億円だった。ソニーとしては過去最高だった19年3月期の9162億円を上回り、初の1兆円超えとなった。売上高は9%増の8兆9993億円、本業のもうけを示す営業利益は15%増の9718億円となり、いずれも過去最高を更新した。

 半導体を除く主力5事業が前の期比で増益だった。けん引役となったゲーム事業は、巣ごもり消費の恩恵もあり、営業利益が3421億円と全体の35%を占めた。唯一、減益となった半導体事業は、米中貿易摩擦の影響で主要顧客である中国華為技術(ファーウェイ)への画像センサー供給が一時滞った影響を受けたが、それでも1458億円の営業利益を計上した。

 十時副社長の冒頭の発言通り、主力事業が安定して利益を生み出しているのは10年以上の年月をかけて進めてきた戦略が結実したからだろう。

 ゲーム事業では、00年代からネットワークサービスを強化することでリカーリング型のビジネスを確立。21年3月期は新型ゲーム機「プレイステーション5」の立ち上げ費用がかさむ中で、安定的に利益を稼いだ。半導体事業では、業績回復途上の局面でも大型投資を継続して製造規模を拡大し、米アップルやファーウェイといったスマートフォン大手の心をつかんだ(関連記事:ソニー、「規律ある攻め」継続が生んだ純利益1兆円)。

新中計で調整後EBITDAを重視

 もっとも、純利益1兆円はあくまでも通過点なのかもしれない。ソニーグループ経営陣の視線は次の成長に向いている。

 ソニーグループは28日、決算発表と併せて24年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画の数値目標を発表した。調整後EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)をKPI(重要経営指標)に掲げ、22年3月期からの3年間累積で4兆3000億円を目指す。

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