NTTの社長に島田明副社長(64)が昇格する見通しとなった。6月の株主総会後に就任する。グループ再編を実行した澤田純社長(66)が「動」なら、人事が長く常に落ち着いた島田氏は「静」。同社として26年ぶりに代表権のある会長に就く澤田氏と、“異例のトップ分業”になる。

 「アグレッシブな澤田さんと、手堅くて実直な島田さんは対極のような存在。バランスが取れているのではないか」

 NTTグループの中堅社員は、6月からNTT新体制を引っ張る2トップの印象をこう語る。4年ぶりとなる社長交代は4月26日以降、各紙が報道した。

島田明副社長は1981年に日本電信電話公社(現NTT)に入社した。人事のエキスパートだ(写真=共同通信)
島田明副社長は1981年に日本電信電話公社(現NTT)に入社した。人事のエキスパートだ(写真=共同通信)

 澤田氏は京都大学工学部を出て技術に明るく、NTT復権への一つの道として次世代通信規格「6G」向けの光通信技術「IOWN(アイオン)」を打ち出した。NTTドコモの完全子会社化に4兆円を投じるなどグループ再編も進め、GAFAなど世界のIT(情報技術)大手の勢いに押されてきた中で、反転攻勢に動いた。

 「澤田さんを動とすれば島田さんは静で、人事のエキスパート」。NTT社員はこう語る。

 島田氏は民営化の4年前にあたる1981年に日本電信電話公社(現NTT)に入社。NTT西日本の財務部長、NTT東日本の総務人事部長などを歴任し、2012年にはNTTの取締役総務部門長に就いた。18年から副社長を務めCFO(最高財務責任者)、事業戦略の責任者として澤田氏を支えた。

敵をつくらない

 NTT東での総務人事部長時代を知るある社員は、周囲に常に目を配る島田氏の姿を覚えている。

 「若手を10人ほど集めて頻繁に昼食に誘って、社員がどうしているか気にかけていた」「入社3年目の若手でも、気を張らずに話ができる人だった」

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