東芝の株価急騰により、同社を買収する案はピンチを迎えかねない。これまで複数の株主が株価上昇を願うと共に、買収による非上場化も求めてきた。ただ、市場の期待先行で価格が上がりすぎると、TOB(株式公開買い付け)が困難になる。買収には海外独禁法当局の審査というハードルも浮上しており、くぐり抜けるには相当な工夫が必要だ。

「一般的な株主の期待が膨らみすぎて、市場は過熱状態だ。すでに東芝のフェアバリュー(適正価値)を大きく上回っている」――複数の金融関係者は、22日の東芝株価の推移を見て懸念を漏らした。日中取引では一時的に5496円をつけ、2013年5月以来、約9年ぶりの高値(18年に実施した株式併合の効果を換算)となった。終値ベースでも前日比240円(4.7%)高の5400円と、やはり9年ぶりの高値だ。
株価が急上昇したきっかけは、東芝が21日夜に発表した内容だ。同社を買収して非公開化することを含め、同社への再編提案を募集すると表明した。「実現可能な案」が出てきたら、6月予定の定時株主総会より前に、買収提案の数を公表。さらに総会後、こうしたファンドに対して東芝へのデューデリジェンス(資産査定)の機会を設ける。財務アドバイザーに野村証券、法務アドバイザーには西村あさひ法律事務所が就いた。
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