日立製作所は3月31日、米新興IT(情報技術)企業を約1兆円で買収すると発表した。買収額は日立として過去最高。株価は下落し、「高値づかみ」との声も聞こえる。巨額買収に踏み切る狙いはどこにあるのか。

「(独自のIoT基盤である)『ルマーダ』を進化させグローバル展開を加速するための買収だ」。3月31日に日立製作所が開催したオンライン記者会見で、東原敏昭社長兼CEO(最高経営責任者)は巨額買収に踏み切る狙いをこう説明した。
日立が買収を決めたのは、米IT企業のグローバルロジック。買収額は総額96億ドル(約1兆500億円)と、日立として過去最高となる。7月をめどに既存株主から全株式を取得する。
グローバルロジックは2000年創業の新興企業。従業員は約2万人で、欧米を中心に金融や通信会社、自動車、ヘルスケアなど400社超の顧客を抱える。21年3月期の売上高は前の期比19%増の9.2億ドル(約1000億円)、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)比率は23.7%を見込む。
日立は16年から、独自のIoT基盤「ルマーダ」関連事業を経営の軸に据えてきた。ただ、22年3月期のルマーダ事業の売上高目標の1兆6000億円のうち、国内が7割で、海外は3割にとどまるという。冒頭の東原社長の言葉通り、今回の買収で海外展開を加速させる考えだ。
もっとも、株式市場の評価は厳しい。買収の第1報が伝わった3月31日の株価は前日比で7.3%下落。翌4月1日も1.6%下げた。機関投資家を中心に市場関係者の多くは、日立の買収を「高値づかみ」と判断したようだ。
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