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 村田製作所は、6月下旬に中島規巨・代表取締役専務執行役員を社長に昇格させる人事を発表した。中島氏の社長就任で、創業家の出身者以外が社長になるのは初となる。新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪の開催延期が決まるなど、多難の船出になりそうだが、非創業家出身の新社長は国内屈指の利益率を誇る電子部品大手をどう率いていくのか。次期社長の中島氏に聞いた。
中島規巨(なかじま・のりお)
1961年9月21日生まれ。1985年同志社大学工学部卒業後、村田製作所入社。2006年7月 モジュール事業本部通信モジュール商品事業部事業部長、13年取締役常務執行役員を経て、17年から代表取締役専務執行役員。6月下旬に社長就任予定。大阪府枚方市出身、58歳。(写真:行友 重治、以下同じ)

中島規巨・代表取締役専務執行役員(以下、中島氏):昨年11月上旬に社長室に呼ばれて伝えられました。村田恒夫社長(兼会長)は老け込んでいるわけでもないですし、私自身はまったく意識してませんでしたね。

その場で社長就任について回答したのですか。

中島氏:質問ではなかったんですよね。(村田社長からは)「社長やってもらうことになったから。頼むわな」といった感じで。ですので、重責は感じていますが、まだ実感は湧いていないのが本音です。ただ2年前から代表取締役を務めていましたので、目線としては自分が率いる事業だけでなく他の事業も意識していましたのは有利かもしれません。

6月下旬以降は新社長として船出するわけですが、注力する通信分野では「5G」、車載分野では自動運転や電動化の「CASE」という成長機会が広がる一方で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う市況悪化の懸念もささやかれている難しい局面です。

中島氏:喫緊の課題であるコロナ問題ですが、少し甘いのかもしれませんが、5Gやクルマの電動化といった大きなトレンドへの影響は一過性のものだと考えています。2020年内にはリカバーするでしょうし、投資判断も中長期では変わらない。もちろん投資のタイミングはとても重要になってきます。

「5G」の需要は底堅いが……

5Gの投資状況、足元の動きをどうみていますか。

中島氏:年初の時点では、5Gスマホはメーカー各社からかなり強気なフォーキャスト(予測)が出ていました。これは恐らくダウンサイドに振れるでしょう。一方で、5Gの基地局はほぼ計画通りに進んでいるので、需要は底堅いのかなと。5Gスマホは、従来であれば9月ごろにメイン機種が出そろっていたのがやや遅れる可能性はありそうです。ただ20年度ではある程度の数字で落ち着くとみています。