強まる株主要求

 会社再編を「2分割案」へ大幅修正した東芝に対し、一部の大株主がITサービス事業や半導体製造装置事業なども追加売却するよう要求していることが複数の関係者への取材で分かった。これまで複数のアクティビストが非上場化を実施するよう求めてきたが、同社は分割案の修正と空調事業などの売却を選択した。しかし株価は思うように上がらず、株主から不満が出ている。会社側が非上場化を選ばない場合には、さらに事業をスリムにしていくよう求め続けるという。

会社の行方、焦点は「過半数の賛成」

 「過半数の株主の意思を尊重すべきだ」。2月14日、当時の東芝社長だった綱川氏はオンラインの記者会見でこう語った。同社は3月24日に臨時株主総会を開き、会社2分割案への賛否を問う。綱川氏は複数の大株主が求めてきた「3分の2の賛成」ではなく、50%超の賛成を勝敗ラインにする考えを示した。

 企業の形を大きく変える会社分割では多くのケースで3分の2以上の賛成によって可決する特別決議が必要となるが、「(会社案に反対する)少数の株主の意向を尊重することになりかねない」と綱川氏は会見で述べた。そのため、臨時株主総会では過半数の賛成を承認基準とする普通決議を通じて「株主の中間的な意向を伺う」(東芝)としている。法的拘束力はない。

新経営陣、多難の船出に

 東芝は3月1日、綱川智社長兼CEO(最高経営責任者)を含め3人の執行役が退任すると発表した。会社分割案には多くの株主からの賛成を得にくい状況となっており、続々と決めたリストラ策もあって社内が混乱。社外取締役が中心となり、トップ人事に踏み切る形となった。

 新社長兼CEO(最高経営責任者)に就任した島田太郎氏は、同社のことを「大好きです」と就任会見で連呼した。東芝は連結で12万人もの従業員を抱える巨大企業だ。生え抜きを重んじる社風がある中で、人心をつかんで難局に立ち向かうにはどうすればいいのか。島田氏は改めて社内に対し、働き手の味方であると存分にアピールする必要があったのかもしれない。

 今後、会社全体の分割案は見直される可能性もある。前経営陣が「非中核事業」に分類した小売業向けデータ事業やエレベーター事業は、島田氏と新副社長兼COO(最高執行責任者)の柳瀬悟郎氏が育ててきた分野だからだ。2分割案を変更するか問われた際、島田氏は「現時点ではない」と語った一方で、今後について「すべてのオプションを検討」とも明言した。

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