3月1日に東芝の新社長兼CEO(最高経営責任者)に就任した島田太郎氏は、同社のことを「大好きです」と就任会見で連呼した。航空機の設計チーム出身で外資系企業を経て、2018年に東芝に転じた。外部から来た幹部人材は、打ち解けるまでに苦労する雰囲気があるという同社。それでもあえて島田氏に経営を託した背景を読み解いていく。

 「島田新社長はもの言う株主(アクティビスト)への対応と同時に、とにかく社内への気配りが試される」「柳瀬(悟郎)副社長を立てて社内をまとめていくことが肝心だ」。今回の経営陣刷新について、東芝内部の経緯をよく知る複数の関係者がこのように解説した。

 東芝の「中興の祖」として、経団連会長も務めた土光敏夫氏を思い浮かべる人も多いだろう。石川島播磨重工業(現IHI)の社長を務めた後、1960年代に業績不振となっていた東京芝浦電機(現東芝)の社長に転じて再建に取り組んだ。その土光氏でさえ、最初は「外様大名」のように扱われて苦しんだとされている。

 だからだろう。島田氏は1日の記者会見で「東芝に来て3年ではありますが東芝が大好き」「世の中に存在しない技術を開発し、命を燃やす人たちが大好き」と繰り返した。東芝は連結で12万人もの従業員を抱える巨大企業だ。生え抜きを重んじる社風がある中で、人心をつかんで難局に立ち向かうにはどうすればいいのか。島田氏は改めて社内に対し、働き手の味方であると存分にアピールする必要があったのかもしれない。

シーメンス出身の島田太郎社長(右)と東芝生え抜きの柳瀬悟郎副社長は「二人三脚」を強調した(写真:東芝)
シーメンス出身の島田太郎社長(右)と東芝生え抜きの柳瀬悟郎副社長は「二人三脚」を強調した(写真:東芝)

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