液晶大手、ジャパンディスプレイ(JDI)が業績低迷から抜け出せない。2月10日に発表した2020年4~12月期の連結決算は最終損益が229億円の赤字(前年同期は1108億円の赤字)だった。主要顧客である米アップルがスマホのディスプレーに有機ELの採用を増やしたことで、JDIが手掛ける液晶の受注が減った。21年3月期は7期連続の最終赤字に陥る公算が大きい。

 業績回復に向け、JDIは体制の刷新に踏み切った。昨年12月末に菊岡稔前社長が退任。支援元である独立系投資顧問会社のいちごアセットマネジメント社長でJDIの会長を務めていたスコット・キャロン氏がCEO(最高経営責任者)に就任した。CEO就任後初の公の場となった10日の決算発表では既存事業の構造改革と新規事業の創出を軸とする経営方針を示したが、そこには既視感も漂う(関連記事:変われぬJDI、“兄弟会社”のルネサスと明暗)。

 JDIは今度こそ復活できるのか。会長兼CEOのキャロン氏に聞いた。

<span class="fontBold">スコット・キャロン氏</span><br />ジャパンディスプレイ会長兼CEO(最高経営責任者)<br />1986年プリンストン大学卒業、93年スタンフォード大学大学院博士課程修了後、94年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入所。バンカース・トラスト・アジア証券、モルガン・スタンレー証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)などを経て、2006年にいちごアセットマネジメント設立。20年3月にジャパンディスプレイ会長。12月末の菊岡稔前社長の退任に伴いCEO職を引き継いだ(写真=吉成大輔)
スコット・キャロン氏
ジャパンディスプレイ会長兼CEO(最高経営責任者)
1986年プリンストン大学卒業、93年スタンフォード大学大学院博士課程修了後、94年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入所。バンカース・トラスト・アジア証券、モルガン・スタンレー証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)などを経て、2006年にいちごアセットマネジメント設立。20年3月にジャパンディスプレイ会長。12月末の菊岡稔前社長の退任に伴いCEO職を引き継いだ(写真=吉成大輔)

ジャパンディスプレイ(JDI)に金融支援をしてから1年弱がたちますが、厳しい経営状況が続いています。20年3月に会長に就任し、12月末に菊岡前社長が退任してCEO職も引き継ぎましたが、中に入ってJDIのどんな課題が見えてきましたか。

JDIのスコット・キャロン会長兼CEO(以下、キャロン氏):技術は強いのに、事業モデルが弱い。結果として収益基盤が構築されていないのが課題でしょう。

 私自身は米シリコンバレー出身。シリコンバレーは技術が強いといわれますが、事業モデルのイノベーションが得意なんです。いかに顧客価値を創出するかを徹底しています。

 とはいえ私の人生の大半は日本なので、日本のトップ企業が実力に見合うような収益を生み出せるように支援して、日本の豊かさに貢献したい。JDIの赤字は、社員の努力の問題でもないし、技術が足りないわけでもない。事業モデルの問題です。

 ディスプレーメーカーとしての事業モデルが弱くなったらどうすべきか。持続的な成長には、事業モデルの転換や新事業の創出が求められます。新事業がうまく行けば、世界をガラリと変えることができるでしょう。

昨年12月末には前任の菊岡稔氏からCEO職を引き継ぎました。交代時には理由を「二人三脚では改革が遅くなる」と説明していました(関連記事:JDIが経営トップ交代、脱「二人三脚」で求められる一手)。

キャロン氏:二人三脚には強みもあります。話し合うことで互いを補完し合えますからね。ただ、どうしてもスピードが落ちてしまいます。「我々は一刻も早く黒字転換しなきゃいけないのに、果たしてこれでいいのか」と話し合ったわけです。

当時の会見では二人の対立があったのではという質問も出ましたが。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2330文字 / 全文3481文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「佐伯真也の「日の丸電機サバイバル」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。