日本産業パートナーズ(JIP)による東芝買収案について、ようやく銀行団が融資すると了承した。当初は2022年11月頃にもまとまるとみられていたが、そこから約3カ月も調整が続いた。最後は旧三井財閥とつながりの深い東芝を支えるべく、三井住友銀行が最大のリスクを取ることで話がまとまった。「これが最終列車で、逃したら当面は巨額のLBO(レバレッジド・バイアウト)案件など無理」と言われている。
今回の買収案がなぜ「最終列車」(大手銀行関係者)と呼ばれるのか。まず大きな理由は、東芝の属する三井グループが最大限の金融リスクを取っているという構図だ。
JIPによる東芝の買収資金は2.3兆円前後で、それとは別に2000億円程度を運転資金として想定している。複数の関係者によると、買収額のうち銀行団によるシニアローンと呼ばれる主力融資が約1.2兆円。その4割相当の5000億円超を三井住友銀が担い、三井住友信託銀行も2割相当の2000億円超を出すとみられる。

銀行団の協議は長引いたが、三井系の金融機関のみで融資の6割を負担することが決め手となった。これが呼び水となり、東芝にとって付き合いの長いみずほ銀行も4000億円超を貸すことで折り合った。このほか三菱UFJ銀行とあおぞら銀行の合計で2000億円超だ。
「今の経済情勢で一企業に融資できるのはメガバンクでも1行あたり3000億円程度と見られていた。行内で想定された与信上限を超えるほど上位行が率先し、集められた最大額がここだったのだろう」(投資銀行関係者)
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り2435文字 / 全文3101文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「日の丸電機サバイバル」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?