日立製作所は7月20日に新会社「ハピネスプラネット」(東京・国分寺)を設立する。日立が独自開発した幸福度計測技術を活用し、企業の生産性向上を支援する事業を手掛ける。人の幸せを数値化する研究を15年間にわたって続けてきた矢野和男フェローが新会社の代表取締役CEO(最高経営責任者)に就任する。

 「幸せな人や組織は、幸せだから生産性が高い。逆ではない」。新会社の設立を発表した6月29日、矢野氏はこう強調し、組織の幸福度を高めることが生産性の向上につながると説明した。スマートフォンのアプリで測定できる「ハピネス関係度」を企業の生産性向上だけでなく、「将来的にはサービスや地域が幸せを生んでいるかを測る物差しとして活用してもらいたい」との意欲も示した。

 とはいえ、ハピネス関係度という新しい指標を人が受け入れ、定着するまでには時間がかかりそうだ。そもそもスマホのアプリで人の幸せを計測できるのか、という根本的な疑問にも突き当たる。矢野氏に聞いてみた。

人の幸せを数値化した「ハピネス関係度」を測定できるスマホアプリを提供する

ハピネス関係度をどのように測定しているのでしょうか。

日立製作所の矢野和男フェロー(以下、矢野氏):周囲の人を幸せにする状態のときに出る体の動きかどうかをスマホの加速度センサーで捉えています。スマホをポケットなどに入れておくと、アプリが毎秒数十回センサーの値を調べ、動きのパターンを検出します。それを3時間ほど続けて動きのパターンごとの頻度を計測し、ハピネス関係度の数値を出しています。

幸せかどうかはどうやって判断するのでしょうか。

矢野氏:「幸せなことがあったか」といった設問が入った質問紙によって調べた結果を使っています。心理学や経営学で研究されてきた手法で、設問や数値化するための尺度もほぼ確立されています。そうした分野の先生と協力してアンケートを取る一方で、回答者にセンサーを付けてもらって体の動きを測定する実験を5000人日分集めました。

 センサーから得た膨大なデータを分析したところ、無意識に出る体の動きの1つの特徴と、組織の幸せの度合いとの相関が強いことが分かったのです。その相関係数は0.9を超えています。組織に所属する人の体の動きを見れば、アンケート結果に基づく組織の平均的な幸せの数値を90%以上の精度で予測できるということです。極めて高い相関関係にあると言えます。

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