シリーズ
橋本宗明が医薬・医療の先を読む

(写真:PIXTA)
142回
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アルツハイマー病との闘い、次の課題は「診断・検査」技術
エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬が米国で迅速承認されたが、治療の対象となる早期アルツハイマー病患者を簡単に判定する診断・検査技術はまだ確立されていない。ただ、医療機器、診断薬メーカーの間では、より…
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「年350万円」高額アルツハイマー薬の試練、エーザイの説明責任
米食品医薬品局(FDA)から迅速承認を取得したエーザイのアルツハイマー病治療薬「レケンビ」。承認取得の発表と同時に、米国で平均体重の患者が使った場合の価格を年間2万6500ドルに設定したことを発表した。価格は様々なデータ…
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中外製薬、技術ドリブンの創薬戦略
中外製薬はR&D(研究開発)説明会を開催し、幾つかの新たな開発候補品を紹介した。そのうちの1つは、人間が持つ免疫の仕組みを治療に生かす抗体医薬の次世代品。通常の抗体医薬は1つの物質に強く結合する特徴を持つが、この候補品は…
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米メルク、大型品の特許失効後の成長にも自信
米製薬大手メルクのロバート・M・デイビス会長兼最高経営責任者(CEO)が来日し、メディアの取材に応じた。グローバルの成長をけん引する主力の抗がん剤キイトルーダが、日本では薬価引き下げにより成長できていない問題について、政…
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塩野義のコロナ飲み薬、初の緊急承認の意義はどこにある
厚生労働省は11月22日、塩野義製薬が緊急承認制度を使って承認申請していた新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ錠」を緊急承認した。新型コロナの飲み薬としては日本で3つ目となる。ゾコーバ錠は、5月に医薬品医療機器等法(…
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武田薬品、グローバルワクチン企業に一歩前進 デング熱向けで成果
武田薬品工業が開発中のデング熱ワクチンに対して、欧州連合(EU)の規制当局の委員会が承認に肯定的な見解を出した。既に2022年8月にはインドネシアで承認されているが、欧州や欧州域外の流行国でも順次承認されそうだ。グローバ…
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下水からウイルス検出 新型コロナ流行監視する塩野義の新技術
塩野義製薬と島津製作所が合弁で設立したAdvanSentinelは、下水中から高感度で新型コロナウイルスを検出する技術を開発したと発表した。同社が挑む下水疫学調査サービスとはどんなビジネスなのか
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「RNAi薬は新たな章が始まった」アルナイラムCEOの自信
新型コロナウイルス感染症向けのワクチンですっかり有名になったメッセンジャーRNA(mRNA)だが、ヒト体内でたんぱく質をつくり出すmRNAを分解して、異常なたんぱく質による疾患の治療を目指すRNAi薬というものもある。R…
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エーザイのアルツハイマー病新薬、社会に対する価値を示せるか
エーザイは米バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー病治療薬のレカネマブについて、早期アルツハイマー病患者を対象とした大規模比較試験で良好な結果を得たと発表。2023年にも日米欧での承認取得を見込む。アルツハイマー病…
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モデルナCEO来日で熱弁、mRNAをアプリに例える真意とは
新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの開発と世界供給で成功を収めた米モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)がこのほど来日。日本でのワクチン工場建設を視野に入れて政府と協議中であることを明かした。そのバ…
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住友ファーマ、社名変更してもなお、道は険しく
2022年4月1日に、大日本住友製薬から社名変更した住友ファーマ。主力の抗精神病薬「ラツーダ」の米国での独占期間が22年度中に終了し、業績的には苦境を迎える。新薬が思い通りに育たない中、研究開発費を抑えながら次代の屋台骨…
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武田薬品との提携でワクチン実用化した米ノババックスの戦略
2022年4月に武田薬品工業が日本で4番目のコロナワクチンとして承認を取得した「ヌバキソビッド」。米ノババックスから製造技術を導入し、日本でのライセンスを受けて製造した遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンだ。ノババックスは製…
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「大麻草から医薬品」の現実味、サプリにも使えるCBDとは
大麻草の主成分の1つであるカンナビジオール(CBD)を有効成分とする医療用医薬品が、規制のために日本では扱えない状況だ。これを改めるために大麻取締法見直しの議論が進められている。CBDを機能性素材として利用した化粧品やサ…
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中外製薬、血友病治療薬の世界シェア拡大に自信
2022年上期に2桁の増収増益と好業績を実現した中外製薬。ロナプリーブやアクテムラなどの新型コロナ薬の貢献が大きいが、血友病治療薬ヘムライブラが世界シェアを拡大したことも大きい。だが、血友病治療薬は競合品の開発も進む。ヘ…
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武田薬品が「細胞医薬」の国内製造に挑戦したわけ
武田薬品工業が2021年11月に発売した細胞医薬は、大阪市内にある工場で国内製造したものだ。もともとスペインの工場で製造していた製品の製造や試験の技術を、新型コロナウイルス禍による移動困難な状況下で、拡張現実(AR)など…
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アステラス、イノベーションを生む組織風土へ改革
アステラス製薬は目下、イノベーションを実現するための人材育成や組織文化の醸成に取り組んでいる。背景にあるのは、「現状のままでは他社に劣後する」という安川健司社長CEOの危機感だ。どのような危機感を抱き、どのような改革を進…
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塩野義の“コロナ飲み薬”、承認の可否判断が先送りされたわけ
厚生労働省は6月22日の夜に専門部会を開催し、塩野義製薬が緊急承認制度を使って申請していた抗ウイルス薬の承認可否を審議した。しかし、結論には至らず、7月にも開催の会議に判断を先送りした。そのわけは?
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塩野義、革新的な抗菌薬の世界供給へ一歩前進
塩野義製薬は6月15日、非営利のグローバルヘルス組織と連携して、薬剤耐性(AMR)を持った細菌に有効な新規抗菌薬セフィデロコルのグローバル供給に向けた取り組みを開始すると発表した。だが、まだ課題は山積している。
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第一三共の抗がん剤が学会で喝采を浴びたわけ
世界中のがん専門家が集う米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で、第一三共の抗がん剤「エンハーツ」の臨床試験の結果が発表されると聴衆はスタンディングオベーションを送った。なぜか。
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楽天メディカル、光免疫療法のプロジェクト始動 がん患者救えるか
楽天メディカルは、制御性T細胞という免疫に関わる細胞を標的としたがん治療法の開発について国立研究開発法人の日本医療研究開発機構(AMED)と契約したと発表した。光免疫療法薬の第2弾となる新プロジェクトでは、肝臓に転移した…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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