10月1日付で研究組織を刷新したアステラス製薬が12月7日に「R&Dミーティング」を開催。新しい研究組織の狙いについて説明した。「バトンタッチ型の機能別組織からアジャイル型の研究組織体制へ」とうたうアステラス製薬が語った新体制の要諦とは。

 アステラス製薬の新しい研究体制について解説する前に、これまでの経緯を説明しておこう。

 かつてアステラス製薬は、疾患領域を泌尿器、移植、がんなどに絞り込んで、世界に通用する革新的な医薬品の研究開発を進める方針を取っていた。しかし、技術革新や科学の進歩が日進月歩のライフサイエンス分野では、領域を絞り込んだやり方で革新的な新薬を創出し続けるのは容易ではない。

 そこで2018年に研究開発のマネジメント手法を改めた。バイオロジー(生物学)と、モダリティー(治療手段)/テクノロジー、疾患という3つの構成要素がそろったら、そこに重点的に研究開発投資を行うようにした。このやり方を「フォーカスエリアアプローチ(FAアプローチ)」と称し、21年5月に発表した25年度までの「経営計画2021」では、30年度にFAアプローチで創出したプロジェクトによって5000億円以上の売上収益を見込むとした。

 つまりFAアプローチは10年先の実用化を見越し、その分野の科学(生物学)や技術、疾患の実態把握などがまだ端緒についたばかりの段階で投資の意思決定をする手法といえる。アステラス製薬はこの手法により、眼科の再生医療、ミトコンドリアバイオロジー、遺伝子治療、がん免疫の4分野を、3つの構成要素がそろった「プライマリーフォーカス」と位置付けて研究に取り組んできた。

 社内での取り組みだけでは3つの構成要素をそろえるのに不十分なこともある。そこでアステラス製薬は、18年に米マイトブリッジ、米ユニバーサルセルズ、英ケセラ、米ポテンザ、19年に米ザイフォス・バイオサイエンシーズ、20年に米オーデンテス・セラピューティクスを買収するなど、外部からの技術や科学の取り込みにも力を入れてきた。

 オープンイノベーションを加速した結果明らかになったのが、つくば市にある自社研究部門が抱える課題だ。アステラス製薬の岡村直樹副社長は「買収によって取り込んだ各組織での自律的なプログラム創出活動を維持しつつ、包括的にマネジメントを行う必要性が生じている」と話す。それが10月1日付の組織刷新の理由だ。

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