「現在の株価は過小評価されている。自社株買いの良い機会だと考えた」。10月28日に武田薬品工業が開いた2021年4~9月期決算説明会。クリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)は最大1000億円の自社株買いを決めた理由をこう語った。9月以降、開発を進めていた新薬の候補品に問題が生じたことを相次いで発表し、先行きが懸念される中、ウェバー社長CEOの自信が揺るがない理由はどこにあるのか。

武田薬品工業のグローバル本社ビル(写真:共同通信)
武田薬品工業のグローバル本社ビル(写真:共同通信)

 安全性の問題が生じて臨床試験を中断すると武田薬品が10月6日に発表したのは、睡眠障害治療薬候補のTAK-994。同社は「オレキシンフランチャイズ」と呼ぶ化合物グループに最大60億ドルの売上高を期待するとしており、TAK-994はその主力品だった。9月には、骨髄異形成症候群と呼ばれる疾患や血液がんの一部を対象に臨床試験を進めていた「Pevonedistat」(TAK-924)についても、臨床試験で有効性を示すことができなかったと発表している。

 TAK-994は、ナルコレプシー1型と呼ばれる睡眠障害の治療薬候補の1つ。武田薬品はもともとTAK-925という候補品の開発を進めていたが、点滴投与を必要とする薬だった。そこで、化合物を改良する研究を進めた結果、経口投与で有効性が期待できるTAK-994が見つかった。2020年にTAK-925よりも先に第2相臨床試験を開始した。

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