「高品質の候補品を市場の半値以下の低コストで提供できるようにする」

 医薬品開発の抜本的なコスト削減を実現しようと、こんな目標を掲げる人物がいる。医薬品を含むヘルスケア分野や情報技術(IT)分野のファンドを運用するウィズ・パートナーズ(東京・港)の藤澤朋行取締役チーフインベストメントオフィサー(CIO)だ。10月中にもIPジェネレーター(仮称、以下IPG)という会社を設立し、医薬品候補化合物の開発・販売権を製薬企業などに安価にライセンスもしくは譲渡する事業に参入する。

ウィズ・パートナーズの藤澤朋行取締役チーフインベストメントオフィサー
ウィズ・パートナーズの藤澤朋行取締役チーフインベストメントオフィサー

 藤澤氏がIPGで狙うのは、製薬企業の中で「塩漬け」になっていた候補品の活用だ。

 武田薬品工業から独立した、医薬品の研究開発を受託するAxcelead Drug Discovery Partners(神奈川県藤沢市、以下ADDP)の持ち株会社であるアクセリード(神奈川県藤沢市)の社長を務める藤澤氏は、武田薬品の退職組。ADDPが武田薬品の化合物ライブラリーや実験データを利用する権利を確保していたことに注目した。

製薬企業に眠る「仕掛かり品」

 通常の低分子医薬品の開発は、化合物ライブラリーと称する候補品の中から、“標的”とされる疾患関連の生体分子に作用するものを探し出し、それを改良しながら培養細胞や動物を使った実験を重ねるといったステップを踏んで進めていく。物質特許を出願するのは、「最終的にこの候補品で臨床試験を進めよう」と意思決定したタイミングとなる場合が多い。製薬企業の研究所には、動物実験などを行ったものの特許出願には至っていない仕掛かり品が数多く塩漬けになっている。

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