2022年9月28日、エーザイは米バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー病治療薬のレカネマブについて、早期アルツハイマー病患者を対象とした最終段階の大規模比較試験で良好な結果を得たと発表した。発表を受けて同社株は同日、ストップ高買い気配で推移し、株式市場の期待度の高さを伺わせた。

エーザイの内藤晴夫代表執行役CEO(最高経営責任者)
エーザイの内藤晴夫代表執行役CEO(最高経営責任者)

 レカネマブは、アミロイドβ(Aβ)と呼ばれるたんぱく質が脳内に蓄積することがアルツハイマー病の引き金になるという「Aβ仮説」に基づいて開発された抗体医薬だ。Aβ仮説に基づく医薬品としては、やはりエーザイとバイオジェンが共同開発し、米国では迅速承認されたものの日本では21年12月に承認の見送りが決まった「アデュヘルム」(アデュカヌマブ)もある。アデュカヌマブがAβに対する抗体であるのに対して、レカネマブはAβが凝集してできた神経毒性の高いプロトフィブリルと呼ばれるものに対する抗体だ。

 今回結果が判明した大規模試験は1795人の早期アルツハイマー病患者を対象にしたもので、2週に1回の投与を開始して18カ月後に症状などの進行が27%程度抑えられていることを確認できた。安全性の問題もこれまでの試験から想定された範囲内にとどまった。

 エーザイは今回の試験結果が判明する前に、既に得られていたデータに基づいて米国で5月に迅速承認制度に基づく申請を行っている。アデュカヌマブも米国では21年6月に迅速承認されたが、高齢者向け公的医療保険の適用対象が大幅に制限された。レカネマブも迅速承認の可否は23年1月6日までに判明するが、迅速承認されても保険適用が制限される可能性はある。

 それでも迅速承認制度に基づく申請を行った理由について内藤晴夫代表執行役CEO(最高経営責任者)は、「保険適用が制限されても、必要とする患者に1日も早くレカネマブを届けたい。また、迅速承認の際に動物実験や早期臨床試験のデータを当局が審査するので、本承認申請の際の審査期間が短縮されると期待できる」と説明した。

 エーザイでは今回の大規模試験のデータなどを加えた米国での本承認の申請を22年度中に行いたい考え。また、日欧でも22年度中に承認申請を行い、23年12月末までに日米欧での承認を取得したい考えだ。

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