
新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの開発と世界供給で成功を収めた米モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)がこのほど来日した。1995年に日本で社会人としてのキャリアをスタートさせたバンセルCEO。今回の訪日で成果を手にすることができただろうか。
日本でのワクチン工場の建設に向けて政府と協議していることを明かしているモデルナ。現在主流のオミクロン型の派生型の「BA.4」と「BA.5」に対応したワクチンも日本で承認申請準備を進めており、CEOが政治家や政府関係者などと直接対話できたことは、今後の事業展開に大いに役立ったものと思われる。
だが、それ以上に将来への種まきができたという点で、今回の来日はバンセルCEOにとって貴重な機会だったに違いない。

1つは、日本の科学者たちと面会し、その科学と技術、事業プランについて説明できたことだ。モデルナが実現した新型コロナワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)という遺伝物質からなる。mRNAを構成する核酸の塩基配列に従って、ワクチンの抗原となるたんぱく質を体内でつくり出し、抗原への免疫反応を誘導するというものだ。
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