1990年に創業した創薬ベンチャーの草分けであるそーせいグループは、東京証券取引所が2022年4月に発足させるプライム市場への移行にあと一歩のところまで到達したようだ。21年8月12日に開催した21年12月期第2四半期の決算説明会で、創業者である田村眞一会長兼社長CEOは21年12月期に「最近2年間の利益合計が25億円以上」または「売上高100億円以上かつ時価総額1000億円以上」というプライム市場の業績に関する基準を達成する見通しを示した。4月の市場発足には間に合わないが、基準を満たした上で申請し、22年秋にもプライム市場への移行を実現したい考えだ。

 そーせいは04年に東証の新興企業向け株式市場であるマザーズに上場した。上場時こそ株式時価総額は500億円近くあったが、赤字を出しながら研究開発を続ける創薬企業のビジネスモデルが投資家に理解されず、一時は時価総額が12億円を下回るところまで落ち込んだ。12年にはスイスのノバルティスに開発・販売権を提供した呼吸器疾患治療薬が日本と欧州で承認され、売上高に応じたロイヤルティーという安定収入が入るようになった。これに伴い株価は回復し、時価総額が4000億円を超えた時期もあった。

東証は来春、市場区分の見直しを実施。機関投資家の投資対象になりうる企業向けの市場と位置付けるプライム市場を発足させる
東証は来春、市場区分の見直しを実施。機関投資家の投資対象になりうる企業向けの市場と位置付けるプライム市場を発足させる

 ただ、短期売買の個人投資家が参加者の中心である新興市場ではなかなか株価は安定しない。そこで、機関投資家が多く参加する東証1部への移行を模索したものの、「最近2年間の経常利益の合計が5億円以上」といった要件を満たす必要があり、実現はしなかった。

 経営自体は、特に15年に英ヘプタレス・セラピューティクスを買収して以降、順調だ。ヘプタレスは、多くの製薬企業が注目するGPCRというたんぱく質を標的とした独自創薬手法を確立した企業だ。そーせいの傘下に入る前から幾つかの製薬企業と提携していたが、傘下に入った後も米ファイザー、スイスのロシュグループの米ジェネンテック、武田薬品工業などと相次いで提携。また、英アストラゼネカや英グラクソ・スミスクライン、ファイザーなどに対しては、創出した候補化合物の開発などの権利をライセンスし、それぞれライセンス先が動物での試験やヒトでの臨床試験を行っている。新型コロナウイルス(SARS-COV-2)に対する抗ウイルス薬の開発など、自社単独または他社と共同で開発を手掛けているテーマも10以上に上る。

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