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(写真:Shutterstock)

 人口の高齢化に伴い、今後急増すると見られるアルツハイマー病。これまでに承認された薬は症状を抑えるものしかなく、進行を抑えるものはなかった。それを可能にする新薬がついに登場するのか。

 8月7日にエーザイと米バイオジェンは全世界で共同開発しているアルツハイマー病治療薬候補のアデュカヌマブについて、米食品医薬品局(FDA)が承認申請を受理したと発表した。これを受けてバイオジェンの株価は7日、前日終値に比べて一時12%超上昇した。連休明けの11日、東京株式市場でもエーザイの株価は一時前週末比14.6%高となる9890円をつけた。

 アルツハイマー病患者の脳内には、神経細胞外に老人斑というたんぱく質の沈着と、神経細胞内に神経原線維変化と呼ばれる糸くずのような塊が見られる。前者の老人斑を主に構成しているのがアミロイドβと呼ばれるたんぱく質で、後者の神経原線維変化はリン酸化したタウたんぱく質が凝集して生じる。

 アルツハイマー病の真犯人は、アミロイドβかリン酸化タウたんぱく質か──。研究者の間ではそんな議論が巻き起こり、幾つかの仮説に基づいて創薬研究が進められてきた。それらの仮説の1つが、長い時間をかけてアミロイドβが脳内に沈着して、それがタウたんぱく質による神経原線維変化を引き起こして、最終的に神経細胞が脱落するというアミロイドβ仮説だ。そしてこの仮説に基づいて、アミロイドβを作り出す酵素を標的にした薬や、アミロイドβの分子を標的にした抗体、凝集したアミロイドβを標的とする抗体などの研究が進められてきた。

 エーザイとバイオジェンが共同開発するアデュカヌマブは、このアミロイドβを排除する抗体医薬だ。