第一三共と英アストラゼネカは7月27日、開発中の抗がん剤DS-1062のグローバルな開発と販売で提携したと発表した。両社は2019年3月にもDS-8201(その後、「エンハーツ」という商品名で日米で発売)という抗がん剤の開発・販売で提携していたが、今回、新たな抗がん剤についても同様の契約を交わした。

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 エンハーツとDS-1062は、がん細胞表面に出現するたんぱく質にくっつく抗体に、細胞を殺す効果のある薬物をつないだ「抗体薬物複合体」(ADC)と呼ばれるタイプの抗がん剤だ。エンハーツはがん細胞の表面にあるHER2というたんぱく質を、DS-1062はTROP2というたんぱく質をそれぞれ標的にしている。

最大60億ドルという大型契約

 エンハーツの契約で第一三共が受け取る金額が最大69億ドルだったのに対して、DS-1062の契約は最大60億ドルとほぼ同規模の大型契約となった。契約内容もほぼ同じで、様々ながんに対して、両社で費用を折半して共同で開発を進め、日本では第一三共が販売するが、日本を除く全世界では両社共同で販促し、損益を折半する。

 エンハーツのときは、第一三共は抗がん剤を開発した経験が乏しく、経験値の高いグローバル企業と契約せざるを得ないという事情があった。しかし、アストラゼネカと共同でエンハーツを開発したことで、第一三共はノウハウを身に付け、日米欧で開発の人材も獲得してきた。営業体制も日米欧で整いつつあるところだ。このため、第一三共ではDS-1062についてはグローバルで自社開発・販売することも視野に入れていた。それが一転、アストラゼネカと共同開発・販売することにしたのはどうしてか。

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