(写真=ロイター/アフロ)
(写真=ロイター/アフロ)

 中外製薬が2022年上半期の決算を発表した。売上収益が前年同期比52.8%増の5962億円、営業利益は同78.5%増の2869億円、四半期利益は同72.9%増の2042億円と好調な結果となった。この中には22年3月に締結した米アレクシオン・ファーマシューティカルズとの特許紛争の和解に伴って受領した7億7500万ドルが含まれている。ただ、その影響を除いたコア売上収益でも、22年上半期は前年同期を29.2%上回る5043億円、コア営業利益も同21.5%増の2014億円と好調だった。

 もっとも、2022年上期の好業績の背景には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の医薬品の存在がある。2021年7月に日本で特例承認された抗体カクテル療法薬の「ロナプリーブ」は同社の国内売上高を前年同期よりも608億円押し上げた。中外製薬が創製した抗体医薬の「アクテムラ」も2021年6月に米国でCOVID-19に対する緊急使用許可を取得し、欧州でも2021年12月、日本でも2022年1月に承認を取得。2022年上期のアクテムラの海外売上高は前年同期よりも255億円増加した。

 従って、ロナプリーブやアクテムラの売上高は、今後、COVID-19の流行が収束すれば急減するリスクがある。2022年下期に、予想通り通期のコア売上収益で前年同期比15.0%増の1兆1500億円、コア営業利益で同1.4%増の4400億円という数字を達成できたとしても、2023年に業績が失速する事態を招かないだろうか。

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