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 国立感染症研究所免疫部の高橋宜聖部長は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する臨床研究で頭を悩ませている。臨床研究に協力して血液を提供してくれる感染経験者が期待通りに現われてくれるか分からないからだ。

感染者の免疫の状態の研究は欠かせないが、難航している(写真はイメージ:PIXTA)

 高橋部長は、大阪大学免疫学フロンティアセンターの黒崎知博教授、KOTAIバイオテクノロジーズ(大阪府吹田市)の山下和男社長とともに、COVID-19から回復した患者の血液中にどのぐらいの抗体があって、ウイルスの増殖をどの程度抑えることができるのかなど、免疫の状態を分析する研究を7月初めに開始した。

 研究自体は大きな意義のあるものだ。COVID-19患者の免疫の状態に関する研究は、より多くの感染者が発生した欧米などでも行われているが、「欧米と日本を含むアジアでは死亡率などに大きな違いがある。その背景に、免疫の状態が関係するのであれば、日本人感染者の免疫の状態を解析することは重要だ」と高橋部長は話す。さらに「今回のプロジェクトを通しては、今後ワクチンを開発するに際して⽐較対照となる標準検体も作製する計画だ。そのため、1人当たり100mLから200mLの採血を2回お願いしなければならないが、これも日本でワクチンの治験を行うためには必要なことだ」という。