米国に拠点を持つ製薬企業など33社で構成する米国研究製薬工業協会(PhRMA)は7月1日、オンライン記者説明会を開催し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するバイオ医薬品業界の取り組みについて説明した。約400の薬物療法の可能性が検討され、140を超えるワクチンの開発が進められていることが紹介された。登壇者は「ワクチンは成功する確率が5%から10%しかない。ゴールに向かって数多くのシュートを打つ必要がある」と強調した。1種類のワクチンが完成すればおしまいではなく、業界を挙げて複数のワクチンを供給する体制を構築していく必要がある。

説明会に登壇したのは、PhRMAのチーフメディカルオフィサーのリチャード・モーシスキー氏と在日執行委員会委員長のクリス・フウリガン氏。モーシスキー氏はノースウエスタン大学医学部出身の医師で、2013年から4年間、米食品医薬品局(FDA)の医薬品評価研究センター(CDER)に在籍した人物だ。
そのモーシスキー氏は、「競争は脇に置いて協力し合い、バイオ医薬品業界が一丸となって克服に取り組んでいる」として、業界の取り組み状況を紹介した。
それによると、まず診断については、FDAが120の診断・検査の技術や機器に緊急使用許可を出し、米国の臨床現場で使われていることを紹介した。新型コロナウイルスに対する抗体を持っているかどうかを調べる抗体検査のキットや装置については、米国内で196件提供されているものの、FDAから緊急使用許可を受けているものは21件にとどまることが紹介された。抗体検査は日本でも製品によって性能にばらつきがあることが報告されているが、そうした状況を反映したものだろう。
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