フランスに本社を置くサノフィは、世界全体で361億2600万ユーロを売り上げるグローバルメガファーマの1社だ。うち、ワクチンの売上高は57億3100万ユーロで、世界4位。世界のワクチン市場は、メルク、ファイザー、グラクソ・スミスクラインとサノフィの4社による寡占化が進みつつある。新型コロナウイルス感染症に対しては、多くの製薬企業やワクチンメーカーが治療薬やワクチンの開発を進めているが、日本向けの供給は確保されるのだろうか。サノフィ日本法人の岩屋孝彦社長にインタビューした。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として、製薬企業やバイオベンチャーは治療薬やワクチンの開発を進めており、一方で各国政府は自国への供給確保を競い合っています。サノフィのワクチンを巡っては、5月に米国向けを優先すると表明したのに対して、フランス国内で批判の声が上がり撤回したという報道がありました。ワクチンなどの日本への供給について、サノフィではどのように考えていますか?
岩屋孝彦・サノフィ日本法人社長(以下、岩屋氏):まず、話せない部分もあることはご了承ください。COVID-19の患者数は、世界を見渡すと今でも増え続けています。世界の多くの国が経済的にも社会的にも大きなダメージを受けたことから、あらゆる国が次の流行に備えるという意味でも、ワクチンの供給を非常に強く求めているのは間違いないと思います。

1967年生まれ。1990年厚生省(現厚生労働省)入省。2004年ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人に入社。ジョンソン・エンド・ジョンソングループの製薬事業部門であるヤンセンファーマなどを経て、19年9月にサノフィ入社。20年1月から現職
最高経営責任者(CEO)と会長がフランスで語ったように、我々サノフィとしては、ステークホルダーと協調して、ワクチンを開発した暁には世界中に供給できるように努力していきたいと考えています。サノフィは、米国、欧州、それから世界中のすべての主要地域に製造能力を持っているので、できるだけ急いで開発して世界中に供給していきたいと考えています。もっとも開発に100%成功するということはどの会社も言えないのですが。
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