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 「ユニクロ」などのブランドで知られるファーストリテイリングの会長兼社長の柳井正氏は6月24日、個人として京都大学に100億円を寄付すると発表した。本庶佑氏と山中伸弥氏という2人のノーベル賞受賞者による研究に、それぞれ50億円ずつを寄付する。

会見した京都大学の本庶佑氏(左)、ファーストリテイリングの柳井正氏(中)、京都大学の山中伸弥氏

 本庶氏に関しては京都大学基金「柳井基金」を設置。2020年4月22日から2030年4月21日の10年間、毎年5億円、総額50億円を寄付する。寄付は、本庶氏をセンター長として2020年4月に設立された京都大学医学研究科付属がん免疫総合研究センター(CCII)におけるがん免疫療法に関する研究に充当する。

 山中氏に関しては、京都大学iPS細胞研究所が、京都大学医学部付属病院、京都市、大阪市立大学大学院医学研究科、大阪府と連携して行っている新型コロナウイルス研究プロジェクトにまず5億円を寄付する。続けて今年4月に活動を開始した京都大学iPS細胞研究財団に対して、2021年度から9年間にわたって毎年5億円、計45億円を寄付する。

 いずれも大学の基礎研究などを支援するもので、個人による寄付金額としては多額だ。会見で柳井氏は、「海外に比べると日本は寄付文化が根付いていない。企業や個人がもっと寄付をするといいと思う」と語った。本庶氏は、「こういうものがもう少し広がっていくとありがたい」などと話した。

約226億円の配分を求めて大阪地裁に提訴

 本庶氏と言えば、6月19日に小野薬品工業に対して、約226億円の配分を求めて大阪地裁に提訴したことが話題になった。

 裁判で求めているのは、米メルクから提携先の米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)を通じて小野薬品工業が受け取った一時金とロイヤルティーの本庶氏への配分額の増額だ。がんの免疫療法薬「オプジーボ」を開発したBMSと小野薬品、「キイトルーダ」を開発したメルクの間で生じた特許訴訟の和解金に関するものだ。

 現状、小野薬品はメルクから受け取る和解金に対しても、BMSからのロイヤルティー収入に対する料率を当てはめて、収入の1%を本庶氏に支払っている。本庶氏は、メルクとの特許訴訟への協力を求める際に小野薬品の相良暁社長が「40%を支払う」と述べたとして、その水準への増額を求めている。

 本庶氏は、若手人材に研究資金を提供する目的で、京都大学に「本庶佑有志基金」という基金を設立しており、小野薬品に増額を求めているのはこの基金への寄付額を増やすためだ。このため、京都大も本庶氏を支援している。京都大で産学連携担当の理事を務める阿曽沼慎司氏は、「これだけの製品を生み出した基礎研究の価値を、産業界がどう評価するのかが問われている」と主張する。