アステラス製薬は2021年5月26日、2021~25年度の「経営計画2021」を発表した。

 (1)主力の前立腺がん治療薬である「イクスタンジ」および発売済みまたは開発後期段階にある重点戦略製品の売上収益が2025年度に1.2兆円以上、(2)現在早期段階のフォーカスエリアプロジェクトからの売上収益が2030年度に5000億円以上、(3)2025年度のコア営業利益率が30%以上──などを掲げ、「2025年度には株式時価総額7兆円を超える会社にできる」と安川健司社長兼CEO(最高経営責任者)は説明した。

 この発表を受けて株価は上昇基調に転じ、発表時に3.1兆円だった時価総額は6月22日現在、3.7兆円と2割近く増加した。時価総額を目標に掲げた意図や、目標達成に向けた戦略を安川社長兼CEOに聞いた。

中計発表以来、株価は上昇傾向です。投資家の反応をどう見ていますか。

アステラス製薬の安川健司社長兼CEO(最高経営責任者)
アステラス製薬の安川健司社長兼CEO(最高経営責任者)

安川健司社長兼CEO(以下安川氏):当社の株式は90%以上を内外の機関投資家が保有し、それぞれ独自の分析手法をお持ちなので、基本的には皆さん「アステラスが何を言おうと、データを見て判断する」というスタンスなのだと思います。ただ、申請や承認間近の「後期候補品」については、順調に進んでいると思ってもらえたとは思っています。

 一方で、かつてアステラスは「泌尿器と免疫」というターゲットを明確にしていたのですが、それでは新薬が出にくくなったので、2018年から「フォーカスエリアアプローチ」という方法にあらためました。バイオロジー(生物学)と、モダリティー(治療手段)/テクノロジー、疾患という3つの構成要素がそろったら、そこに重点的に研究開発投資を行うというやり方で、現在、眼科の再生医療、ミトコンドリアバイオロジー、遺伝子治療、がん免疫の4つを「プライマリフォーカス」と称して研究開発に取り組んでいます。

 ところが、このフォーカスエリアアプローチというのがなかなか分かってもらえなくて、「何をやったらいいのか分からないから、あれこれ手を出しているだけではないか」と言われたりしました。それで繰り返し説明してきたのですが、今度はそのやり方で本当に製品が出てくるのかという疑問を示されました。中計では、そうした投資家の声に答えたので、ポジティブな株価の反応に結びついたのだと思います。

マネジメントの一番の責任は中長期的な戦略立案

10年先を見越して取り組んでいる基礎的な研究について、外部にどう理解してもらうかが、製薬企業の経営の難しいところですね。

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