エーザイと米バイオジェンが共同開発してきたアルツハイマー型認知症治療薬のアデュカヌマブが6月7日、米食品医薬品局(FDA)から条件付きの承認を取得した。承認は、臨床的有用性は不確実であるものの、深刻な病気に苦しむ患者が早期に薬物にアクセスできるようにする迅速承認制度に基づくもので、今後、バイオジェンは臨床試験で有用性を検証する必要がある。FDAは有用性を確認できなければ承認を取り消すとも言及している。

1997年に認知症薬「アリセプト」を開発したエーザイは認知症領域に経営資源を集中してきた
1997年に認知症薬「アリセプト」を開発したエーザイは認知症領域に経営資源を集中してきた

 アデュカヌマブは疾患そのものを治療する初めてのアルツハイマー型認知症治療薬で、バイオジェンとエーザイが共同開発してきた。一時は開発中止に追い込まれたものの、臨床試験のデータを検討し直した結果復活し、2020年7月にバイオジェンが米国で承認申請。翌8月にFDAは申請を受理し、審査完了予定日を21年3月7日と設定して承認の可否を検討してきた。

 しかし、20年11月に開催されたFDAの諮問委員会では承認に否定的な見解が示されるなど、見通しは決して明るくなかった。治療費の高額化が見込まれることから、米国では消費者団体なども承認を懸念する声を上げていた。FDAの要請でバイオジェンが追加データを提出したため、審査完了予定日は6月7日に変更された。「追加データを求めたのはFDAが承認に前のめりになっている証し」とも指摘されたが、その期日ギリギリになってようやく承認の判断が下された格好だ。

 アデュカヌマブの承認取得は株式市場でもサプライズだったのだろう。7日のバイオジェンの株価は前日比38%上昇。エーザイの株価は8日、終日買い気配が続き、大引けでストップ高水準の前日比1500円(19.4%)高の9251円で配分された。

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