塩野義製薬は2020年6月1日、2030年のビジョンと、2021年3月期から2025年3月期までの新中期経営計画を発表した。

 同社の目下最大の経営課題は、2028年ごろに特許切れを迎える抗エイズウイルス(HIV)薬ドルテグラビルに代わる収益源をいかに創出するかだ。今回示した中計では、2020年3月に交わした中国平安保険グループとの提携を生かして、中国や東南アジアでの売上高を早期に拡大していくシナリオを示した。

中期経営計画を発表する塩野義製薬の手代木功社長

 塩野義の現在の収益構造は独特だ。2020年3月期の売上高3350億円のうちロイヤルティー収入が約半分の1656億円を占め、一般管理費を除いた営業利益は1252億円だ。つまり、利益はロイヤルティー収入によってまかなわれており、逆に言うとそれ以外は利益に貢献できていない。

 そのロイヤルティーのうち、ドルテグラビルなどの抗エイズウイルス(HIV)薬による収入は1271億円に上る。だからこそ同社は、その特許切れに危機感を強めている。特許切れが訪れる前に、それ以外の収益基盤を固めておくことが、中長期的に大きな課題となっているわけだ。

中国平安保険グループと資本業務提携

 6月1日に発表した2025年3月期までの中計で、同社は積極的な投資を行いながら、コア営業利益率は30%以上を維持し、海外での売上高を拡大して収益を伸ばしていくシナリオを描いてみせた。

 2021年3月期の売上収益3235億円に対して、2023年3月期の売上収益が4000億円、2025年3月期の売上収益が5000億円。海外売上高比率は2021年3月期の13.7%に対して、2023年3月期には25%、2025年3月期には50%と拡大していく。金額に置き換えると、今期440億円の海外売上高を、2年後に1000億円、その2年後には2500億円に拡大する計画だ。

 どうすればそんな強気のシナリオが描けるのだろうか。鍵を握るのが3月末に発表した中国平安保険グループとの資本業務提携だ。

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