
メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン「スパイクバックス」を開発し、世界中に供給して一躍巨大企業となった米モデルナ。2021年12月期の売上高は前期比23倍の184億ドルで、前年同期にマイナス7億ドルだった最終利益は122億ドルに達した。1ドル126円で換算すると売上高は2兆3000億円を超え、国内で2位の製薬企業である大塚ホールディングスを大きく上回る。
このほど来日した同社の最高医療責任者(CMO)であるポール・バートン氏が単独インタビューに応じ、研究開発や今後の戦略などを語った。インタビューの前に行った記者会見での説明も交えて、同社の次の戦略を紹介する。
米マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置く米モデルナは2010年に設立されて以来、たんぱく質の設計図であるmRNAを利用した医薬品の実用化を目指して研究を重ねてきた。2013年には英アストラゼネカと、循環器疾患、代謝性疾患、腎疾患とがんに対するmRNA医薬の開発で提携している。
その研究の積み重ねが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によりmRNAワクチンという形で開花したわけだが、それ以前からmRNA医薬の臨床試験を行ってきた。例えばアストラゼネカとの循環器領域での共同開発品については、2016年に臨床試験を開始している。
COVID-19ワクチンというたった1つの製品で、世界の大手に躍り出た同社だが、大手製薬として生き残っていくためには、これに続く製品群が不可欠だ。次にどのような種を仕込んでいるのだろうか。
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