アークトゥルスはmRNA技術を有するスタートアップで、2013年に設立され米NASDAQ市場に上場している。「LUNAR」と称する独自の脂質ナノ粒子技術(LNP)を有し、肝臓および呼吸器の希少疾患を対象にmRNA医薬による治療を目指してきた。これらのmRNA医薬に関しては、米ジョンソン・エンド・ジョンソンのグループのヤンセン・ファーマシューティカルズや武田薬品工業などと共同研究開発を行っている。
2025年に製剤までの一貫生産
COVID-19の流行を受けて、米モデルナやビオンテックと同様にmRNAワクチンの開発に着手し、現在は米国とシンガポールで第2相臨床試験を実施している。モデルナやビオンテックももともとmRNA技術をベースにがんワクチンなどの研究を行っており、COVID-19の流行を機に感染症用ワクチンの研究に乗り出した。アークトゥルスのmRNAワクチンは、冷凍保存を必要とせず、1回投与で済むなどの特長がある。
アルカリスは、まずは福島県南相馬市の下太田工業団地に2022年1月から原薬製造施設の建設を開始する。2023年4月には原薬製造施設の稼働を始め、引き続き建設した製剤化施設で2025年には製剤までの一貫生産を開始したい考え。今後3年で100億円規模の投資を計画している。

資金はアクセリードからの出資を計画しているが、国や県などの補助金も積極的に申請していく予定だという。ちなみにアクセリードは日立製作所と提携関係にあり、日立もこのプロジェクトに参画している。
RNAを用いた核酸医薬というものは既に実用化されており、受託製造する企業も多数登場している。ただ、これらの核酸医薬は主に二十数個の核酸の「塩基」が数珠つなぎになった構造をしており、化学合成法によって製造している。ところがワクチンなどに用いるmRNAは塩基が1000個から2000個も数珠つなぎになったもので、化学合成法で製造するのは難しい。
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